理想的なオフィス作りに向けてVol.11
2人の超ベテランエージェントが加わったRE/MAX L-style、ここからの話が今回のお話です。
目次
未経験者のサポートは大変
規模を拡大しようと積極的にエージェント面談を行っていたこの時期、次々と未経験エージェントが仲間になりました。
RE/MAXエージェントになると、3日間の本部研修を受けることができます。
ただ、この研修を受けただけですらーっと実務がこなせるほど不動産の世界は甘くはありません。
あくまで入口の部分を学んでいただき、そこからどんどん掘り下げていくことが重要です。
もちろん、そのお手伝いをするのがオフィスの仕事ということになるのですが、研修プログラムを作っていくことにはやはり苦労します。
人それぞれ今まで培ってきた経験も違いますし、理解度、吸収力も違います。
また、座学をいくら学ぼうと、実戦経験を積んでいかなければせっかく学んだことも忘れていきます。
インプットだけではなかなか知識にならないのですよね。
知識を自分のものにするためには、インプットだけでなくアウトプットも必要になります。
私の場合、学んだことを忘れないようにメモする、誰かに伝えたいことはBlogに書いたりセミナーで披露する、そうやって一つ一つ知識を積み重ねてきました。
いい話を聞いた時に、メモを取る癖をつけることは大切ですが、そのメモを見返したりしない人も結構多いのですよね。
メモを取ったのなら見返す、そして学んだことを誰かに話す、これだけは心掛けなければいけません。
前にも一度お話ししたことがあるのですが、宅地建物取引士試験に合格するための学習時間は約300時間と言われています。
毎日3時間勉強しても100日間かかります。
毎日1時間の勉強なら300日も要します。
苦労して宅建士になったからといって、完璧に不動産の実務がこなせるわけでもありません。
なぜなら、試験の内容が実践的な内容になっていないからです。
営業のノウハウを問われる問題はありませんし、接客マナーや案内前の準備なども問題に出されることはありません。
実務を行っていくうえで最も大切な要素はこちら側にあるのです。
いくら知識をたくさん持っていようが横柄な態度のエージェントから物件を買おうとは思いませんし、知識の量に比例して物件情報があるわけではありません。
物件情報の取得方法も宅建士の勉強では教えてくれません。
これらの知識、ビジネスマナー、業界の慣習、不動産取引の流れなどは改めて学ぶ必要があるのです。
こうした内容を学ぶのに必要な時間はいったい何時間必要なのでしょうか?
私は3000時間は必要だと思っています。
今までの経験でビジネスマナーを身に付けている、お客さまとのコミニケーション能力がすでに高いエージェントなどは、大幅にこの時間を短縮できるでしょうが、そうでない場合は気の遠くなる時間が必要になるわけです。
でも、当たり前の話ですよね?
どの仕事に就いても一人前になるためには、数ヶ月ではなれません。。。
まず、賃貸契約の1契約、これさえも手続きの多さ、煩雑さに驚きます。
物件のピックアップから、案内方法の確認、申込書のダウンロード、申込書の送付、入居審査、契約書・重要事項説明書の作成、説明、契約書類の回収、決済金の入金・送金、鍵の受領、鍵渡し、これだけの手続きが必要になるのです。
どこまでがエージェントの仕事?
もちろん全てです。
この流れを覚えるのに何時間かかるでしょうか?
通常、賃貸仲介の新人営業マンにこの流れを教えるのに先輩営業マンが付きっきりでも1ヶ月はかかります。
2~3ヶ月経つと新人営業マンでもこの流れを滞りなく行えるようになります。
売買仲介ではどうでしょう?
物件のピックアップ、案内方法の確認、購入申込書の記入、申込書の提出、物件調査、契約書・重要事項説明書の作成、説明、契約、住宅ローンの事前審査、住宅ローンの本審査、住宅ローンの金銭消費貸借契約、決済、鍵渡し。。
流れを把握するだけでも大変です。
これを一人で行えるようになるまでにどのくらいの時間が必要でしょうか?
また、これらの知識を座学だけで経験もなしにスムーズにできるイメージがありますか?
たぶんムリです。。
一度の契約、決済を先輩エージェントの横で付きっきりで見たとしても、
『じゃあ次回から一人で。』
こう言われればきっと顔は青ざめているでしょう。。
研修、勉強会で学べることはほんの一握りです。
大まかな流れ、表面的な知識を教えることができたとしても、独り立ちするためにはやはり自分自身で経験を積んでいくことが必要になります。
かといって、一人前になるまでの経験を積むためには何件契約を取ればいいのでしょう?
また、そのためにどれだけの時間を要するのでしょう?
果てしない時間が必要?
ですよね?
なので、他のエージェントの契約を見たり、経験をシェアしていくことが求められていくわけです。
先輩エージェントに同行してもらい、段取りや手続きを学び、同僚エージェントの動き方を見て学んでいく。
それが自分自身が経験したのと同じ感覚で受け止めることができれば、経験値は大幅にUPします。
そのためには、多くの仲間と頼れる先輩の存在が不可欠になってくるわけです。
今のRE/MAXには多くの加盟店が誕生し、エージェント仲間もオフィスの垣根なく交流することができています。
お互いのオフィスの勉強会などに参加しあったり、その後の懇親会で悩みを打ち明けあったり。
1人で戦う孤独感はだんだん薄れてきたのではないでしょうか。
でもこの当時はまだそうではありませんでした。
2020年は9人のエージェントが加入
2020年は最終的に9人のエージェントが加入しました。
でも1年後に契約更新をしたのはわずか3人。。
6人のエージェントが去っていきました。
前年度は6人が加入し、4人が契約更新したのに比べるとかなり厳しい結果になりました。
新人エージェント教育の難しさを感じたのと、加入した当時のモチベーションを維持させる難しさを感じた1年でした。
『もっと簡単に稼げると思っていた。』
『やっぱり、真剣にこの仕事に向き合わないと結果が得れない。』
『もっと個別に学べる環境を作ってほしかった。』
辞めていったエージェントさんたちから聞こえてきた声です。
簡単に稼がせてあげることはできないし、中途半端な気持ちで成し遂げれるほど簡単な仕事ではありません。
ただ、もっと研修プログラムを充実させていかないと続けれない人が今後も出てくる、そんな危機感は持ちました。
そこで、研修動画を作成したり、他のエージェントさんと共同で仕事に取り組んでいくチームプロジェクトなども少しづつ発動していくことになります。
自社で研修を行っていくとその難しさに気付くのですが、エージェントそれぞれの知識レベル、経験レベルが違うため、未経験者や初心者向けに行う研修は経験者には物足りず、経験者やベテランエージェント向けの研修では初心者がついていけずといったボタンの掛け違いが起こります。
かといって、新人エージェントさんが加入するたびに、その一人に向け数日間の研修を行ったり、ベテランエージェントさんの知識向上のための勉強会を随時開催するというのも、オフィス側の負担が重くなります。
その負担を少しでも軽減するために、動画作成やマニュアル作りをしていったのです。
RE/MAX本部の方でも、研修動画作りには奔走していただきました。
RE/MAXのエージェントになればいつでも見れる学習動画が今では100本近くも揃っています。住宅ローンの研修動画、エージェントの心得、バイブルになるような動画も視聴できます。
全国のオフィスオーナーさんたちが悩んでいた課題が少しづつ解決していっているのですよね。
2020年の総括
2020年初頭から世界中、日本中に新型コロナウィルスが蔓延し、大人数での会食や旅行などが制限されました。
満員の通勤電車に乗ることを避けるため、リモートワークも広がりました。
会社に行って仕事をするという常識が覆った瞬間でした。
当然、この影響を不動産でも受けないわけがありません。
多くの観光客が訪れていた大阪の街も一気に閑散とした状態になり、外国人を見かけなくなります。
民泊の宿泊客も一切と言っていいほどいなくなりました。
商業地が一番影響を受けたのですよね。
建設中のホテルの工事が止まったり、飲食店が次々と閉店に追い込まれたり。。
この当時、収益物件仲介中心の仕事から実需(マイホーム)の売買仲介を強化しようと少しづつ移行していた時期でしたから、うちのオフィスにとっての影響はそんなに大きくはありませんでしたが、決まりかけていた収益マンションの契約が飛んでしまったり、民泊用に建築していたアパートが売れなくなったり、多少の影響を受けたのは事実です。
幸運だったのは、事業用物件の動きが止まったかわりにマイホーム購入への意欲が高まったことです。
巣籠り需要が起こり、
リモートワーク用の部屋が欲しい。
子どもたちが家で遊ぶ時間が増え、マンション階下からの苦情もあるし引っ越したい。
今までになかった理由での引越しが増えたせいです。
サラリーマンの人たちも残業が減り、年収も減りそうなので、前年度の収入で融資判断してくれる今のうちに買っておこう、こんな理由の人も登場しました。
いずれにせよ、マイホーム売買に対応できるチームになっていたことが功を奏したのです。
でもこの時改めて確信しました。
RE/MAXの良さを。
普通の不動産会社は、いずれかの分野に特化していこうとします。
賃貸なら賃貸、管理なら管理、売買なら売買、収益なら収益という風に。
その方が効率がいいのと、一貫した教育がしやすいからです。
でもまさにこの時、収益に特化した会社で収益用不動産しか扱っていなかったとしたらどうなっていたでしょう?
恐ろしい結果が待ち構えていたはずです。
実際に前年度RE/MAX Japan年間TOPを達成した小谷エージェントはこの年大きく数字を落としてしまいましたし、RE/MAX L-styleで一番の好成績を残したのは、実需(マイホーム)売買仲介をコンスタントに決めた松本エージェントでした。
また、賃貸仲介の分野でもコツコツと契約が増えていき、そういう意味では成果のあった1年になったのかもしれません。
賃貸もできるエージェント、収益物件を扱えるエージェント、マイホーム売買仲介ができるエージェント、バラエティに富んだエージェントを揃えることができた瞬間でした。
とはいえ、エージェント教育、エージェントを育てるという意味では完全に失敗に終わった1年でした。
この反省を活かし、2021年へと進むことになるのです。