L-style NOWブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. ウッドショックと今後の不動産事情
2021年4月27日

ウッドショックって聞いたことありますか?

最近業界では話題になっている、世界的な木材不足の話です。

このことは、業界内だけでなく一般的なニュースでも報道されるようになってきています。

朝日新聞デジタルの記事によると、

世界最大級の先物市場、米シカゴ・マーカンタイル取引所の木材先物価格は、新型コロナ禍が広がった昨年春、1千ボードフィート(2・4立方メートル)あたり一時300ドルを割った。ところが、昨年6月ごろから急上昇に転じ、足元では3倍以上の1千ドルを超えている。※記事から抜粋

コロナ前は1立方メートル5万円ほどだったが、今では6割増しに。中でも「ツーバイフォー」と呼ばれる工法で使う米国産の木材は、価格が2倍になったという。※記事から抜粋

ここに書かれているように、木材価格が高騰してきています。

 

工務店からも、木材の資材メーカーからも悲鳴が。。。

新築を受注しても、工事の見通しが立たない。。。

資材の輸入状況改善の見込みが立たない。。。

資材メーカーさんからの仕入れがSTOPされた。。。

などの声がそこら中から聞こえるようになっています。

 

私たち不動産業界の人間からすると、今回のコロナ禍の影響は薄く、営業停止や会社廃業などに追い込まれたケースはほぼ聞こえてきませんでした。

ですが、今回のウッドショックは大きな影響を与えそうです。

 

新築着工が止まったり、建築費が大きく高騰すると住宅販売に大きな影響を及ぼします。

コロナ禍の状況でも、米国、中国、台湾などでは住宅価格が高騰していました。

家籠り期間が長くなる分マイホームにお金をかける、投資先がない分不動産に向かっているなど、様々な要因はあるでしょうが、とにかく住宅販売が盛況でした。

この米中の住宅事情がとても盛況であること、ここに海上物流のコンテナ不足というのも重なり、日本国内に木材が入ってきていないという状況が続いているのです。

住宅に限らず、モノは何でも売れれば売れるほど、価格が上昇します。

価格が上昇すれば、資材が高騰しようが仕入れは継続します。

日本でもオリンピック需要、インバウンド需要が盛況な時は建築費が高騰しました。

経済は需要と供給のバランスですから、当然の話です。

 

でもまだその時は、RC造の建築物がメイン(ホテル建設など)でしたので、対象物はRC物件で木造建築物の価格上昇はほとんど見られませんでした。

その間、民間の賃貸住宅は高いRC造、鉄骨造ではなく、木造アパートへ大きくシフトしていきます。

で、今回のウッドショックです。

RC造、鉄骨造はまだ高いまま。。

その上、木造建築がストップ、減産することになりました。

この先どうなるのでしょ?

予測される動きとすれば、木材不足により建築費は上昇

2割~3割程度UPする可能性さえあります。

2-3ヶ月で改善されれば別ですが、年内の回復が見込めないとするとこの可能性さえ否定できません。

多少の流通が復活したとしても、少なく見積もっても1割はUPするのではないでしょうか?

建築費がUPすれば当然住宅価格にも反映されます。

新築住宅価格も値上がりするというのは、比較的予測しやすいことですよね。

 

不動産価格には建物価格だけでなく、土地価格も含まれます。

では、土地価格がどう推移していくか考えてみましょう。

住宅を提供する側からすると、

建築費が値上がりする

→住宅価格に反映できるか?

Ⓐ→反映できる→土地仕入れ価格はそのまま

Ⓑ→反映できないかも?→土地仕入れ価格を抑える→土地価格が下落

こういう思考になると思われます。

横へ倣えで、大手建築会社さん、ハウスメーカーさんの分譲住宅の値上げが実行されると、価格には反映しやすくなります。

そうなると、土地相場の下落は防げそうですし、逆に土地相場が下落しない場合は全体的な不動産価格の上昇、高騰が予測されます。

不動産バブルの再燃?

米国、中国、台湾などではすでに不動産バブルは到来していますから、日本の不動産相場も同様になっていくことも考えられます。

もう一方で、住宅価格が建築資金の高騰を吸収できずに、土地価格の下落方向へ向かっていったとしたら危険です。

多くの既存の不動産で担保割れの現象が生じます。

不動産融資が不良債権へと変化し、サブプライムローン崩壊の時と同じように大不況へと向かう可能性もあります。

今は世界各国の不動産は盛況ですから、日本の不動産価格が崩壊すれば海外からの資金が日本国内に流れてきそうですし、この線は薄いかもしれませんね。

ということで、日本の不動産価格が上昇していくという方向性で考えてきます。

新築価格が上がれば、中古市場の相場が上昇します。

新築不動産が買えなくなった層が中古市場に流れてくるからです。

インバウンド需要などで、RC造の建築費が上昇し、新築マンションの価格が上がったことにつられて中古マンションの売買価格が上昇しました。

ここ数年はその傾向がとても顕著で、数年前に購入したマンションの一室が新築時価格より高い金額で売れる。

こんな現象が起こっていました。

この話はマンションだけの話で、木造の一戸建住宅などではその影響は皆無でしたが、ウッドショックにより今後戸建住宅でもこの現象が起こり得るかもしれません。

日本の中古市場では、中古流通よりも新築の流通が今でも大部分を占めています。

でも、これは中古市場が弱く、

【建物の価値は年々減少し、最終的には0になる】

税法上の減価償却の考え方がそのまま根付いてしまったせいです。

でも欧米では、築何十年という中古住宅が今でも高値で取引されています。

家は新築という概念があまりないのですよね。

日本でも、今後は【住宅を購入する=新築】ではなく、【住宅を購入する=中古を購入】する、こういう概念が根付いてくると、不動産市場はより活況になっていくのではないでしょうか?

日本の不動産業界も激動の時代へと突入してきました。

中古市場が活況になってくれば、ますます私たちエージェントの仕事が重要になってきます。

見れば気に入る新築住宅と違い、住宅一つ一つに特性を持つ中古住宅、そのプロデュースができるエージェントさんの力が発揮される時代がきたのではないでしょうか?

楽しみですねー。

最後に。

新築戸建の購入をお考えの方、住宅価格が値上がりする前のご購入をお勧めします。

お気軽にご相談くださいませ。

では。

 

この記事を書いた人
大西 征昭

オーナー

大西 征昭Masaaki Ohnishi

不動産のことなら何でもお任せ。
ただの不動産屋ではないです、不動産の専門家です

  • line
  • facebook
  • twitter
  • instagram
  • youtube
  • tiktok