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  3. 『仲介手数料無料』の罠【売買仲介編】
2021年4月13日

最近はいろいろな不動産会社さんが増えました。

その中で

『仲介手数料無料』

と大々的に謳っている会社さんがあります。

3,000万円の不動産を購入する場合、『3%+6万円』つまり、96万円

そこに消費税が乗っかってくるので、105.6万円

この仲介手数料を仲介する不動産会社さんに支払うことになります。

この金額って、安い軽自動車なら新車で買えるほどの金額ですから節約したい気持ちは重々分かります。

でも、不動産会社も商売です。

仲介手数料を無料にできるカラクリがそこには存在しています。

飛びつく前に、なぜそんなことが出来るかを知る必要がありますよね?

そこで、『仲介手数料無料』を謳っている会社さんのホームページを少し覗いてみます。

すると、見えてきますよねー。

紹介できる物件が限定的であること。

新築戸建やリフォーム済の中古マンション。

売主さんが不動産会社限定になっています。

しかも、どこの不動産屋さんでも仲介できる物件ばかり。

売主さんが不動産会社というのは、これは別に悪いことではありません。

不動産会社さんが売主さんの物件は、消費税対象物件なので『住宅ローン減税』が一般個人が売主さんの物件に比べ優遇されています。

一般個人が売主さんの場合、年間に最大受けれる控除額は20万円までとなっていますが、不動産会社さんが売主さんの場合、年間最大40万円、物件によっては年間最大50万円まで受けることが可能です。

そこにはメリットはありますよね。

しかも、不動産会社(宅建業者)さんが売主さんの場合、契約不適合責任は最低2年間みないといけませんので、購入者にも安心です。

じゃあいいことづくめじゃないの?

どこの不動産会社で買っても契約できるなら、仲介手数料がナシの方がいいじゃない?

それはそうかもしれませんね。

でもそこにもう一つ注釈がつきます。

それは、全ての物件が売主さんから手数料が出ている物件ということです。

もちろん不動産会社は営利団体ですから、一切手数料が発生しないのに誰かのためにせっせせっせと動くことはありません。

売主さんから手数料が出ている物件だからこそ、仲介手数料を無料にできる。

それだけのことなんですよね。

一般的に不動産物件を売却する際には、多くの経費がかかります。

チラシなどのパンフレットを作成する作業、配布する作業、そして今主流になっているSUUMOやLIFULLホームズ、at homeなどのポータルサイトに掲載する費用などがかかります。

仲介手数料無料の会社さんはそういった費用をかけずに集客しています。

多くが自社ホームページや口コミからでしょうか?

それはそれですごいことなんですけどね。

でも仲介手数料無料の業者さんの多くは『仲介手数料無料』と謳ったチラシを配布することも、ポータルサイトに物件を掲載することもありません。

他の不動産会社さんがせっせせっせと行う物件の入力作業も、物件の写真を撮りに行く作業すらも行ってなかったりします。

中には仲介手数料無料というエサに釣られたお客さんを集め、他社から提案された物件をそのまま契約する、こうしたケースも見受けられます。

これが悪いことがどうかの議論は置いておいて、こうした業者さんは、売買契約手続きを行う、これだけが仕事だと思ってるのかな?

不動産仲介をするものに対して、どうして都道府県知事や国土交通大臣の許認可が必要なのか?

それは、一つ一つの契約業務についてしっかり物件調査を行い、物件に潜むリスク、契約上のリスクをお客さんにしっかりとお伝えすることが義務付けられているからです。

たしかに契約するだけなら誰でもできます。

住宅ローンの手続き自体も誰でもできます。

担当がベテラン営業マンに変わったところで、住宅ローンの金利が1%も0.5%も変わることもありませんし、0.1%も変わることさえほぼありません。

でも物件の調査業務に関しては、やはり経験値が大きく物をいいます。

本来、買い側の仲介に入る場合は、買主さんに不利益のないようリスク調査をしっかりと行います。

また、買主さんに不利にならないような契約内容をチェックします。

でも、このケースでいうなら、仲介手数料無料の不動産会社さんは買主さんの味方ではなく、売主さん側の味方です。

買主さんから手数料をもらわず、売主さん側のみから仲介手数料をもらうのですからそうなりますよね。

お客さんに最適な物件を提案するのが私たち不動産業者の仕事であり、買主さん側、売主さん側、どちらか一方のために動くために私たち不動産業者は存在しています。

自分の味方になってもらえない不動産業者さんに仲介してもらう、こんなリスクのある買い方をして大丈夫なのでしょうか?

そもそも大きなお買い物である不動産を、仲介手数料が無料という括りの中で、限られた物件の一部のみの選択肢に限定すること、これが一番のリスクのように思えます。

もちろん、業者さん売主の物件でもいい物件はあります。

ボクたちプロが見ても、

『これ、安いなぁ』

と思う物件も中にはあります。

でも逆に、

『これは高すぎでしょー』

『利益抜きすぎー』

と思う物件も少なくはありません。

ただでさえ、日本全国に流通している全物件の数%しかない物件の中での選択肢なのに、そこから良い物件を見つけることは至難の業です。。。

多くの不動産物件の中から、お客さんに合った最適な物件を探し出し、契約上、物件のリスクなどもしっかり把握した上で提案していく。

その全ての作業に対しての報酬が仲介手数料です。

お客さん自身が物件を見つけてこられ、その物件を案内し契約する。

しかも、お客さん自身が見つけてきた物件なので、その物件について否定はせず肯定を繰り返すだけ。

『いい物件見つけましたねー。この物件で契約手続きを進めていきましょう。』

お客さんが見つけてきた物件でも、時には苦言を提言するのもボクたちの仕事です。

専門家的な意見も求められず、業者サイドからもそれを言わなくてよければ、そりゃ仲介手数料無料でいいよね。

仕事量に見合った報酬です。(笑)

 

この仲介手数料の報酬額については昔からいろいろ議論されています。

今宅建業法で定められているのは、仲介手数料の上限のみです。

下限については取り決めがありませんので、もちろん無料にすることも可能です。

この上限を撤廃しようという動きがあったりもします。

下限がないのなら上限もなくてもいいですよね?

仕事量に見合った報酬

きめ細やかなサービスを提供する代わりに報酬は高い(高級ホテルのようなおもてなしのイメージ?)

一切のサービスを排除する代わりに報酬は格安

入社したばかりの社員がお客様の担当をするから割安

こんないろいろな選択肢を持てるようになった方がお客様のためかもしれませんね。

 

余談ですが、そもそも仲介手数料というものは、不動産の仲介するものに対して支払うものであり、売主さん直接から買い受けるものに対しては、仲介手数料は不要です。

つまり、そもそも不動産業社さんが売主の物件の場合、売主さん直接に取引すれば手数料は発生しないものです。

仲介手数料を払いたくないだけで物件購入を判断するなら、売主さんと直接取引できる物件のみで検索してもいいかもしれませんね。

お勧めはしませんが。

人生の中で最も大きなお買い物のうちの一つ不動産。

仲介手数料はたしかに大きな金額にはなりますが、ここを節約しようとすると将来余計な出費、大きな損失につながることもありますのでご注意ください。

くれぐれも不動産会社選び、担当エージェント選びを間違わないようにしましょうね

 

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この記事を書いた人
大西 征昭

オーナー

大西 征昭Masaaki Ohnishi

不動産のことなら何でもお任せ。
ただの不動産屋ではないです、不動産の専門家です

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