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  3. 節税対策という名の甘い誘惑
2019年4月2日

『不動産投資で騙された』

『買わなきゃよかった』
こんな声が未だによく聞こえてきます。
多くのこういったケース、『節税』という甘い囁きから悪魔の道へとひきづりこまれています。
『税金を払い過ぎています。』
『賢い人はもうすでに対応されています。』
『毎年◯◯万円という税金が還付される方法があります。』
この言葉に反応してしまった人、あなたはもう未来の被害者です。
甘い言葉に反応し、ズルズルと引き摺り込まれていく。
映画のいろんなシーンでよく見られる光景ですが、自分の身に降りかかると多くの人は気付きません。
『ひょっとしたら、これはチャンスなのかも』
『全員が知っていない情報を自分が知ってしまった。この話に乗っからないと世の中に置いていかれてしまう。』
こういった心理でしょうか。
その、あなたに話を持ちかけてきた人はどこかの被災地でボランティア活動をしている時に出会った人でしょうか?
道端で倒れていた自分を病院に運び込んでくれた命の恩人でしょうか?
そんな聖人君子が自分に救いの手を差し伸べてきてくれたのなら信じてしまうのは仕方がありません。
でも、そうではありませんよね?
恐らくパリッとしたスーツを着て、いかにも仕事が出来そうな感じの営業マンだったのではないでしょうか?
よく、詐欺師ほど身なりがきっちりしている。
話し方も丁寧で信用できた。
っていう話を聞いたことがありませんか?
赤の他人に儲け話を持ってくるわけがありません
美味しい話の裏にはワナが仕掛けられているのです。
私も不動産投資の仲介の仕事をしています。
当然、減価償却の話も所得税還付の仕組みも知っています。
でもね。
そんな話をするのは、決まって購入後の話です。
なぜなら?
節税目的で不動産なんて買うもんじゃないからです。
節税対策にもなるだけの話なんです。
不動産投資の目的は何ですか?
資産を増やすためでしょ?
普通は不動産を購入して家賃収入を得るとキャッシュフローが残ります。
キャッシュフローが回らなければ購入しません。
少なくとも私はそうです。
だって、投資なんですからお金が増えなければする意味がありません。
節税目的での不動産購入、これは所得税還付だけでなく相続税対策としても利用されます。
相続対策の場合、固定資産税評価額、相続税評価額、路線価などと実勢価格が乖離しているため、不動産を購入するだけで相続資産を減らすことができます。
これだけならいいんです。
時価で購入した不動産を、タイミングを見計らって購入した金額で売却する。
見事な相続税対策です。
でもね。
購入した時点と、売却するタイミングで不動産相場は変動するということに気づかなければいけません。
うまいタイミングで売却すれば、儲けを出すことも十分考えられる戦略です。
でも、そこに建物を新築したり、多額の借金を背負い込んでするのはどうなのでしょう?
よく、建築メーカーさんが出している収支計画書、ここには家賃の下落率、稼働率の悪化などはほとんど落とし込まれていません。
サブリースという手法を利用し、あたかも永遠に賃料収入が確保されているようなシュミレーションを見せられます。
また借入金なども、変動金利で組まれているにもかかわらず、10年先、15年先の金利が変動していないシュミレーションを作成しています。
これって、不測の事態(ある程度は予測していないといけない事態ですが)が発生すると、途端にその事業自体が破綻する悪魔のシュミレーションです。
10年間変わらない思っていた賃料が、値下げされる。
金利が上昇して支払いが圧迫する。
そのあたりは想定しておかないといけないのですが、如何せん相談する相手がいない。
相談できる専門家は、新築アパートを紹介してきた営業マン、この人にそんな心配材料を問いかけても返ってくる答えは決まっています。
『大丈夫です。ここ数年、当社ではサブリースの賃料の値下げは行っておりません。』
『大丈夫です。ここ数年金利は一切上昇しておりません。今後も上昇する気配はありません。』
『そうなんだ。安心しました。』
じゃ、ないですよ。。。
ここ数年下げなかったサブリース賃料が供給過多で来年下がる可能性はないのか?
契約書にはどういった記述が書かれているのか?
金利がもし、0.5%でも上昇すれば毎月の支払いはいくらになるのか?
そういったアドバイスをしてもらえる専門家をお持ちでしょうか?
現在の賃貸相場と、これからの供給状況、エリア的に賃貸需要が拡大していく場所なのか、衰退していく場所なのか?
建築費は、適正価格なのか、それとも相場より高い建築単価なのか?
そのくらいは判断できる基準を身に付けてから購入の判断をしましょうね。
相続税だけでなく、今問題になっているのが所得税還付目的の新築ワンルームマンションの販売スキームです。
20数平米の1K,1DKのマンションが2千万円前後でたくさん販売されています。
購入者のほとんどは融資を使って。
これを7万円前後の賃料で貸すわけですが、全額融資を受けた場合、毎月のローン返済額はほぼこの家賃収入と変わりません。
30年ローン?35年ローン?
新築時の家賃が30年後ももらえるかというと、そんなことはあり得ないですし、その間同じ入居者が契約し続けることも皆無です。
空室時のローン支払いはどうするの?
リフォーム費用はどうするの?
家賃が下がった時にその差額分の支払いはどうするの?
ちょっと考えただけでも問題点は山積みです。
この手の話に乗っかってしまう人の多くは、奥さんや家族に相談することなく一人で判断しています。
『女性は不安がる生き物ですから、相談したって反対しかしませんよ。』
『これだけ多くのマンションが建ち、すべて完売していくのはなぜだかわかりますか?みなさん節税目的でどんどん不動産を買い増しているからです。このチャンスを逃がすと、次の販売予定の物件はまた値上がりしてしまうかもしれません。』
こんな誘い文句、クロージングトークが行われているのかな?
私は不動産を購入するお客様、みなさまに奥さんやご家族の同意を得てくださいとお話しします。
それは、なぜかというと、不動産投資に家族の協力が必須だからです。
購入の仕方にもよりますが、自分自身のマイホームを購入するとき、この融資がネックになり購入できないことも考えられますし、将来家計を圧迫する心配も出てくる可能性もあります。
万一そうなったときに、家族がバラバラになってしまい家庭崩壊の危機を迎えるかもしれません。
そのあたりの不安を払しょくする提案ができなければ、購入する価値のない不動産ということになります。
女性目線で不安にならない物件、そういった不動産を提案してこそ、安定したキャッシュフローを生む物件ということになります。
当然、そういった物件は不動産所得を生みます。
帳簿上でも単体では赤字になりません。
※購入初年度は経費算入できる項目もあり、不動産所得を赤字にすることは可能です。
不動産は節税するために購入するものではなく、家計所得を増やすためにするものです。
なので、支払う税金は増えます。
ただ、収入も増えます。
これが、不動産投資です。
決して、節税商品ではありません
所得を増やしてから、節税方法を考える。
この概念だけは忘れないでくださいね。
それだけわかっていれば、不動産投資に失敗はありませんので。
まだまだ書きたいことはありますが、今回はこのくらいで。。
また、次回減価償却とかのお話についても書いていきたいと思います。
この記事を書いた人
大西 征昭

オーナー

大西 征昭Masaaki Ohnishi

不動産のことなら何でもお任せ。
ただの不動産屋ではないです、不動産の専門家です

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