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  3. 私道ってヤバいの?
2020年8月7日

『あー。この物件私道なんですかぁ。』

たまにポータルサイトからの反響のお客様とお話ししている時に出てくる会話です。

『そうですね。こちらの物件の前面道路は私道になっております。』

『ってことは、再建築不可ということですよね?』

『えっ?違いますよ。』

たまにこういう勘違いをされているお客様がいらっしゃります。

たしかに、再建築不可の物件のほとんどは私道です。

だからといって、私道に面しているから再建築不可なのかといえばそうではありません。

前面道路が私道=再建築不可

ではないどころか、ほとんどの私道に面している土地は再建築可能の土地になっています。

私道というのは、字の通り私の道、つまり公の道ではないということ。

公の道、公道は国道であったり県道府道、国や都道府県、市町村が保有・管理している土地であり、この公道に面している土地のほとんどは建築基準法上の道路として認定されており、再建築可能の土地となっております。

ほとんどと言ったのは、建築基準法上の道路に面しているからといって、必ず建物が建築できるとは限らないからです。

市街化区域以外の土地や、最低敷地面積が定められている地域、建築基準法上の道路に2m以上面していない敷地などでは再建築が認められていなかったりするためです。

その他、市町村が所有している道路でも建築基準法上の道路として認められていない敷地もあります。

私道の場合でも、もちろん建築許可が下りない土地もあります。

これを調べるには、まず市役所などの道路管理課や建築指導課(市町村によっては呼び名は変わるかもしれません)などで、敷地前面道路が【建築基準法上の道路か否か】を調べます。

建築基準法上の道路と認定されている場合は、次に道路幅員を調べます。

道路幅員が4m未満の場合は、敷地後退(セットバック)が必要になります。

※この辺を書き出すとかなりのボリュームがある記事になってしまうので、セットバック等に関しては、また別の機会に詳しくご説明いたします。

建築基準法上の道路として認定されている場合は、基本的には再建築可能となります。

ただ、問題はこれだけではないのですよね。。。

建物を建築すると簡単に言っても、おもちゃのブロックを机の上にポンっと置くわけではないので、様数々の建築工程があるわけです。

まず、敷地面積に対して建蔽率、容積率の制限を受けます。

自分の土地だからといって、敷地目一杯に好きなだけ建物を建ててはいけないということなのですよね。

敷地面積100平米、建蔽率60%、容積率200%と定められている土地なら、敷地100平米のうち60平米分の投影面積上にしか建物を配置することができず、2階・3階と積み上げても合計200平米以上の建物延床面積を超えることができなくなっています。

またこの基準になる敷地面積は、敷地後退したセットバック分の道路供託した部分の面積を含むことができません。

さらに、前面道路幅員により容積率の上限に制限が儲けられており、最大200%となっていても目一杯の容積率を消化できない場合も多くあります。

※この道路幅員による容積率の制限、敷地後退は、私道・公道に関わらず受ける制限となっています。

私道で何が問題かというと、前面道路の道路所有者が誰なのかということです。

こちらの図のように、前面道路の所有者はケースバイケースです。

多くの場合、水道やガスのインフラは前面道路から引き込むことになります。

アスファルト敷になっている道路部分を掘削し、前面道路に埋まっている水道管やガス管から建築する敷地へと分岐・接続する工事が必要になってきます。

比較的新しい建物を再建築する場合は、自らの敷地に引き込んである配管をそのまま利用できることもあり、前面道路の掘削は必要なくなりますが、ほとんどのケースは古い建築物を取壊し新築する工事になりますので、この掘削作業及びその後の復旧作業が必要になってくるわけです。

この場合、工事を実施する前に前面道路所有者の【掘削同意】が必要になってきます。

また、工事車両が出入りするために道路の【通行同意】も同時に取得することになります。

この掘削通行同意書を前面道路所有者全員から取得しなければいけませんので、前面道路所有者が誰なのかがとても重要になってくるわけです。

ほとんどの場合、道路所有者はお互いに利害関係がある関係になりますので、同意取得に際し揉めることもないのですが、中には偏屈な方もいらっしゃる場合がありますので注意は必要になってきます。

そこで、当社が売主側の仲介業者の立場である時は、事前に掘削通行同意を取得することになりますし、買側仲介業者の立場である場合には、掘削通行同意の取得を売主側業者に依頼することになります。

これが得られない場合には、再建築が難しくなるため土地の取得を断念することもあります。

つまり、どういうことをお伝えしたかったかというと、私道に面している土地が危険なのではなく、事前調査と確認、契約内容の摺り合わせがなく購入してはいけませんよというお話しです。

仲介業者の責務を全うできない不動産会社が仲介に入り、無責任な契約を押し付けられてしまうと、購入したはいいけど建物を建てることができないなんてことも起こり得ないとは限りません。

逆に、しっかりとした仲介業者が間に入り、契約内容のリスクを回避した上で購入するといったことさえできれば、私道だからといって恐る必要はなくなっててくるわけです。

私道の場合、その道路部分の名義部分が個人所有になっているため、

『ここは俺の土地。通行は認めない」

というおじさんが極稀に出現することがあります。

その道路の所有者がそのおじさんの持ち物になっているからといって、長年道路・通路として使用されてきたものであるなら、その敷地に建造物を建てることは認められません。

かといって、自分の土地と主張する人相手と意固地になって争ってしまうと、引越し後の近所付き合いは良好に推移しません。

なので、事前調査が必要なのですよね。

建築計画を立て、掘削通行同意の取得、境界立会いなどまで進めばご近所さんの様子が伺えるのですが。。

確実にリスク回避を図るならそこまでした方がいいかもしれませんね。

いずれにせよ、どの土地を買うかではなく、どの不動産屋さんに、どの担当者に相談するかということが重要になってくるのがお分かりになったでしょうか?

RE/MAX L-styleでは、このような不動産のお悩み事の相談を随時受け付けております。

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この記事を書いた人
大西 征昭

オーナー

大西 征昭Masaaki Ohnishi

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ただの不動産屋ではないです、不動産の専門家です

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