高齢化社会における不動産業の在り方
目次
少子高齢化
日本の高齢化は止まりません。
厚生労働省が発表したデータによると、2023年の出生数(速報値)は前年比5.1%減の75万8631人にまで減りました。
8年連続での減少、過去最少の数字となっています。
しかもこの数字は外国人を含む値で、日本人だけでみるとさらに少なくなるそうです。。。
日本全体の人口減少幅も初めて80万人を超えており、国力低下に歯止めがかかっていない現状です。
まあ、こどもが増えないのだから人口が減るのは当たり前で、高齢者が増えるのもみんな歳を取っていくので当たり前です。
2024年、今年中には人口の半数以上が50歳以上になると言われていますから、私たち不動産業界のターゲット層も当然そのシニア層に向かっていかなかければいけないわけです。
こう考えたら、賃貸住宅の需要って恐ろしく未来がないように思えます。
賃貸住宅の入居者はほぼ生産年齢人口である15歳~64歳に集約されます。
というより、18歳~60歳くらいまで、この層しか引越ししませんのでもっともっと限られてくるわけです。
考えてみればこの生産年齢人口ってのもおかしな話ですよね。
現代日本において15歳から働く人はかなりの少数ですし、60歳超えても働くようになったのはここ10年以内の話ですしね。
時代のニーズによって統計学も変化させていかないといけないのに、総務省がこういったデータを提供し続けていることに少し疑問を感じます。
いずれにせよ、労働人口は減り続けていること、そしてその労働人口はこれからの20年は増えていかないこと、その2つは確定している要素なのです。
賃貸住宅への引越しの動機って何でしょう?
大学へ進学するため、就職するため、結婚するため?
遠方の大学へ進学する率もどんどん下がっており、結婚率も低下しています。
引越しする理由もあきらかに減っていますので、どんどん少なくなっていくこの需要をターゲットにしている時点で未来は厳しいと容易に予測できますよね。
でもこの中で増え続けている需要があります。
高齢者の数と、外国人移住者の数です。
もう賃貸住宅市場はこの層をターゲットにしていかなければ立ち行き行かない、これは歴然とした事実なのです。
これからも増える在留外国人
出入国在留管理局が発表したデータによると、令和5年6月末の在留外国人数は322万3,858人(前年末比14万8,645人、4.8%増加)で過去最高を更新しています。
でも日本の人口比でいうとまだ3%弱です。
ちなみに海外諸国を見ると、スイスは約24%、オーストラリアは約16%、米国で約7%だそうなのでまだまだ伸びることが予想されます。
日本人て、日本語しか話さない、話せない人が多いので、街中で外国人と目が合っても伏し目がちですよね。
でも今後は日本においてどんどん労働力が不足しますので、積極的であろうとなかろうと関わっていく必要が出てくるわけです。
しかも、東南アジア各国の多くは急激な経済成長を遂げてきています。
私たち日本人が労働力として期待している国の人たちが、他の国へどんどん流れていくことも予測されますし、逆に日本の若い労働力がアジア各国に出ていくことも想像されます。。
日本に来る外国人の人たちの多くは日本の低金利を知っています。
なので外国人の多くは日本で、日本の金利で住宅を購入したいという希望を持っていますが、まだそこに対応している金融機関は数多くありません。
永住権を求められるケースがほとんどなのですが、日本に在留している外国人のうち特別永住者は29万人、永住者は84.5万人とそれほど多くはいません。
この辺りの制度が金融機関側でもう少し確立したら、外国人の住宅購入はもっと進んでいくかもしれませんね。
賃貸住宅はもちろん、住宅販売も外国人需要に合わせた対応、これが求めれれる時代です!
高齢者の住まいは今のままで大丈夫なの?
日本人の多くは、『住宅は一生に一回の買い物』、いまだにこう思っている人が少なくありません。
ほとんどの人にとって、人生で一番高い買い物は不動産でしょうから、そう思うのも仕方ないかもしれません。
でも果たしてそうなのでしょうか?
賃貸住宅を家族構成、収入によって変えるのと同じように、購入した家であっても自分の、家族のニーズに合わせて引越しできる方がいいに決まっています。
高齢者の方の多くも、こどもたちはみんな家を出ていき、老夫婦2人で広ーい一戸建てに住んでいる、こんなケースが増えています。
駅までバス便、若い世代もいなくなり小学校は閉校、スーパーさえも撤退、日々の生活では車が必須、そんな街も少なくありません。
2階への昇り降りもだんだん苦痛になってきて、日々の買い物にも苦労する、高齢者の方にとって住みやすい環境でないのは明らかです。
そういった郊外の戸建を売却して、都心のタワーマンションへ引っ越す、そんな動きが活発な時期もありました。
セキュリティーばっちり、マンション周辺にも買い物施設や病院なども揃っていて、老後の生活はこれで安心、そう思って住んでいた人たちも多かった時代がありました。
でも、この環境も今少し変わってきてるのです。
都心のタワーマンション価格がどんどん高騰していき、若いサラリーマン家庭が住める価格帯でなくなってきています。
今でも勢いよく買っているのは、ほとんどが外国人です。
円安の影響もあり、上昇を続けるマンション価格を見ても割安感を感じているからです。
こうなるとマンション内の様相が少し変わってきます。
外国人が増えたから治安が悪くなったという話ではなく、生活ルールの違いや慣習の違いなどでストレスを感じることが増えたり、365日そこの居住するわけではない人たちが所有する部屋が増えることにより、マンション内の環境が変化しているのです。
『長い期間安心して住める環境を維持したい』人と、『資産の一つとして将来高く売却したい』人では、考え方が変わってきます。
今まさにその層が入り乱れている、一つの転換期だと思っています。
住居に、今何を求めているのかということですね。
幸い、ここ数年不動産相場は上昇しているため、今売却しても十分な利益、資金は残るはずです。
環境が自分の求めていたものと違う、そう感じた際には、今ある家を売却して住み替える、こういった選択肢もこれからはどんどん増えてくるでしょう。
不動産を売却した際、購入額と売却額との兼ね合いで不動産譲渡税の支払い対象となりますが、自宅を売却した際には、その年の所得にもよりますが、3,000万円の特別控除が使えます。
ほぼ無税で不動産を売却することも可能なのです。
では売却後に住む家はどんな家がいいのでしょう?
高齢者が住む家としては、有料老人ホームや特別養護老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅などの福祉施設だけでなく、シニア向け分譲マンションなどの選択肢も生まれてきます。
シニア向け分譲マンションの見学に行ったことがありますが、高齢者にとって最高の環境が整っています。
大浴場や娯楽施設、食堂などの共用施設が充実しているだけでなく、緊急時にはいつでもスタッフが飛んできてくれたり、看護体制まで整っていたりで、至れり尽くせりでした。
ゴルフが趣味ならゴルフ場に近い場所に住むのもいいでしょうし、釣りが趣味なら海に近いエリアで過ごすというのもいいかもしれませんね。
お身体の状態によっては、介護体制や看護体制で選んだり、こども世帯に近い場所で探したり、海外や沖縄に移住といった選択肢もあるわけです。
人生80年で終われない時代になってきましたので、いろいろな選択肢があってもいいと思います。
私たちが提供できる不動産は、マンションや戸建だけではありません。
昨年末より、老人福祉施設の紹介事業も始めました。
この事業を始めたきっかけは、お世話になった先輩方が施設に入った話を聞いたり、親御さんたちが施設に入ったという話を聞くことが多くなったためです。
そういうニーズにもお応えできる体制を整えておきたいという気持ちと、最後になるかもしれない住まい探しをお手伝いできていないという悲しい気持ちとが後押ししました。
今では、5人のエージェントが高齢者向け住宅のあっせん事業で活動しています。
そっちは、不動産屋さんのジャンルじゃない、そう思わないでください。
私たちが責任を持ってお手伝いさせていただきます。
これから増え続ける高齢者ですが、みなさん意外と福祉施設のことを知らなかったり、相続のことを知らなかったりします。
これからそういった情報もどんどん発信していきますので、ぜひこのBlogで知識・情報を仕入れてください。
シニア向け住宅もRE/MAX L-Styleにお任せください!お気軽にご相談くださいね。