高齢化社会と不動産の関わりについて
目次
少子高齢社会
日本の人口は2021年12月時点で1億2,547万人。
そのうち高齢者人口(65歳以上)は3,624万人(過去最高)となっており、全体に対しての割合は28.9%もに及びます。
これはよく声高に叫ばれていることですから、当然みなさまもよくご存じな話です。
対して、出生の状況は合計特殊出生率の低下に歯止めがかからない状況が続いています。
合計特殊出生率とは、1人の女性が一生に産む子どもの数を示す数値で、2019年で1.36となっています。
女性と男性の間に生まれるのが子どもなので、2.00以上の数値にならないと日本の人口が将来的に増えることはありません。
このことは厚生労働省が発表しているデータを見ても明らかです。
第1次ベビーブームと呼ばれた昭和22~24年ころは最多の出生数2,696,638人を記録しました。
いわゆる団塊の世代という時代です。
この時の合計特殊出生率は4.00を超えています。
1組の夫婦が4人以上の子どもを産んでいたのですから、人口は増えるわけです。
第2次ベビーブームの昭和46~49年、この時の合計特殊出生率も3.50を超えた数値になっています。
この時代は団塊ジュニアの世代で、この年の出生数も200万人を超えています。
ただ、1971年に為替が変動相場制に変わったり、1973年にはオイルショックが勃発したという要因もあり、この時期を節目に高度成長期と呼ばれる時代が終わりました。
この時までは1ドル=360円だったのですよね。
輸出産業は、輸出すればするほど儲かった時代です。
儲かって好景気になれば出生率、出生数は増える。
これはごくごく自然なことなのかもしれません。
高度成長期が終わり、それに伴うように右肩下がりで、大きく出生率・出生数が下がりました。
毎年100万人を割り込むようになり、令和4年は770,747人と過去最少の出生数となってしまいました。
こうなると問題になってくるのは社会保障費です。
支出はどんどん大きくなるのに対し、社会保障費を支える現役就労世代の割合が下がっているため、収入の減収が予測されていきます。
社会保険料、介護保険料などは今後大きく見直しされていきそうです。。。
介護保険料も1割負担から最低でも2割負担、3割負担とだんだん増えてくることになるのではないでしょうか?
もともと現在の社会保障制度は、高度成長期であった1960年代~70年代に骨格が築かれています。
そのころ考えられていたのは、まだまだ人口は増え続けるという憶測と、ここまで高齢化していかないであろうという誤った予測でしたので、修正が必要になっているわけですね。
またこの頃は、預かった保険料の方が保障費より多かったのと、国債が高い利回りだったことや運用で利益をもたらすことができたため、財源を確保できたわけです。
でも今の日本は未曽有の低金利、そして増大し続ける介護保険料などの社会保障費。。。
もう完全に破綻しているといっても過言ではないと思います。
この状況にどう立ち向かっていくか、これがいま私たちが抱えている課題です。
高齢者の生活実態
厚生労働省が発表したデータによると2021年で、男性の平均寿命は 81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳となっています。
そのうち、65歳以上の高齢者がいる世帯は2,558万世帯(2019年)で全世帯(5,178万世帯)の49.4%にも及んでいます。
※内閣府【高齢化の状況(第1節3)】参照
ここで注意しなくてはいけないのは、高齢者の単独世帯、夫婦のみの世帯の割合です。
高齢者一人暮らしの単独世帯が736.9万世帯で28.8%を占め、高齢者のみの夫婦で住んでいる世帯も827万世帯(同32.3%)を占めています。
つまり、高齢者のみで生活している世帯は高齢者がいる世帯のうち、51.1%と半数を超えています。
全世帯からの割合で見ても、4世帯に1世帯は高齢者のみで住んでいる世帯。。。
こういう大家族の家って少なくなっているのですよね。
3世代が同居する割合を昭和55年と見比べると、とても顕著な数字があらわれます。
昭和55年:全世帯に対する高齢者がいる割合(24.0%)×3世代世帯の割合(50.1%)=12.0% →約8世帯に1世帯の割合
令和元年:全世帯に対する高齢者がいる割合(49.4%)×3世代世帯の割合(9.4%)=4.6% →約22世帯に1世帯の割合
あまり見かけなくなった理由が数字にも表れています。
高齢者だけの世帯の割合も同様に見てみます。
昭和55年:全世帯に対する高齢者がいる割合(24.0%)×3世代世帯の割合(26.9%)=6.45% →約16世帯に1世帯の割合
令和元年:全世帯に対する高齢者がいる割合(49.4%)×3世代世帯の割合(51.1%)=25.2% →約4世帯に1世帯の割合
これは賃貸住宅、持ち家全て含んだ数字ですので、築古戸建で考えるともっと割合は増えそうです。
住環境の問題点
日本の家は、日本の風土・生活様式に合った建て方をされてきました。
畳があり、木のぬくもりを感じれる家。
一見高齢者に適した家に見えますがどうでしょう?
欧米諸国と違い、靴を脱いで家に上がる文化がありますので、田舎の旧家ではこういった家も多かったのではないでしょうか?
今になって思うのですが、こうした家、高齢者にとって昇り降りがとってもきつい建て方になっています。
人生50年時代、60年時代といった時代であれば、対応できたかもしれません。
でも今叫ばれているのは、90年時代、100年時代です。
90歳になってこの段差を昇り降りするのは一苦労です。
障子・襖がある家、風情があって趣深いですが、高断熱の家と違い、冬は寒く、夏もエアコンが効きにくい仕様となっています。
畳のお部屋、和室も高齢者にとって座るのも立ち上がるのも一苦労です。
尺貫法で建てられた建築物がほとんどのため、廊下の幅も半間(910mm)で取られているところも多く、車椅子での移動も困難です。
時代とともに求められる建築物も変わってきて当然ですが、今の時代、これからの高齢化社会にあまり適しておらず、車いすや他の福祉器具の搬入がしやすいようにバリフリー工事が必要になってきます。
年齢とともにつまずきやすいちょっとした段差や、廊下や足元の暗がり、浴室やトイレなどの高さなども不自由になってきます。
この問題点をバリア(障壁)といい、それを取り除くことがバリアフリーということなのです。
バリアフリーな住宅に住むためには、今ある住宅を改修してバリアフリーにするか、すでにバリアフリーになっている家、もしくは施設に引越しするか、その2択になってくるわけです。
いずれにしても費用が伴います。
今度はその費用の捻出がバリア(障壁)になるということも。。。
高齢化社会の問題はまだまだこんなものではありません。
RE/MAX L-styleでは、不動産の売買だけでなく、こうしたバリアフリー工事のご提案、そして老後の生活を豊かなものへとしていくためのお手伝いをしたいと考えています。
その中で、これからもいろいろお役に立つ情報を発信していきたいと考えていますので、ぜひまたBlogをお読みください。
それではまた。