自営業者さんの時給っていくら?
目次
個人事業主・自営業者さんはいくら稼いでるの?
個人事業主の人、自営業者さんってどのくらいリスクがあって、どのくらい稼いでると思いますか?
日本の個人事業主は約180.9万人もいるそうですが、そのうち約35%の人は所得200万円以下だそうです。(令和2年、国税庁の標本調査結果)
これは確定申告の経費の控除後の金額ですし、個人事業主の場合は様々な経費を計上していることも多いので一概には言えませんが、みなさんが思っているより少ない数字ではないでしょうか?
実際に、この数字だけ見ると給与所得者の収入より少ないですからね。。。
ただ、この中には2000万円以上稼いでる人もいますし、逆に赤字申告をしている方もいます。
最近では、サラリーマンでも副業規約が改定されたりし、その申告も含まれているので完全に専業で個人事業主をしている方の所得はもっと高いかもしれません。
一昔前の個人事業主の経営者といえば、朝から晩まで働いているイメージがありました。
私も開業当初は夜中の2時、3時になってもDMの袋詰めをしたり、せっせせっせとBlogを書いたりしていましたし。
飲食関係のお店ではもっとかもしれません。
仕込みから片付け、ほとんどない定休日。
そこまでしてなぜ働くの?
そこまでしてもっと稼ぎたいの?
理由は簡単です。
そこまで儲かっていないからです。
儲かっていたとしても、将来が不安だからです。
『もし、突然お客さんが来なくなったら?』
『もし、自分が病気で倒れてしまったら?』
『いきなり隣に競合店が出店したら?』
いろいろな不安要素を抱えています。
不動産屋さんも同様です。
『もしお客さんが来なくなったら?』
『家が売れなくなったら?』
『部屋探しをするお客さんが少なくなったら?』
『駅前に大手不動産屋さんが出店してきたら?』
起業しても、そんな不安要素がなくなるわけではありません。
個人事業の実態
個人事業主の生存率を調べようと思い、中小企業庁とか国税庁とかの統計データを調べ公表するつもりだったのですが、最近のデータは公表されておらず詳細データを公表するには至りませんでした。
ただいろいろなサイトを見ると10年後の生存率は約1割だと書いてあるところが多く、そうなのかなと思う一方、自分の周りの起業家、飲食店主たちは軒並み10年以上経営しているなあと思いつつデータを見ていると、少し面白い資料を見つけました。
中小企業庁が公表している資料「小規模企業者の事業活動の実態把握調査」によると、個人事業主の手取り年収300万円以下が6割強もいるということです。
あと、個人事業主の7割弱が親族によって支えられているとも書かれています。
この数字も額面通りに受け取ってしまうと、夢も希望も無くなってしまう数字なので、あくまで申告ベースということにしておいてほしいですよね。
ただ、手取り額が2千万、3千万、数千万も実際にあったとしたら、ここまで数字を抑えることは難しくなるので、そんなに遠くない数字が実態なのかもしれません。
これだけの数字を見てしまうと働けるうちに働いて、稼げるうちに稼がないとという気持ちにはなります。
個人事業主でありがちな失敗なのですが、手元に資金を置いておきたいと思い、できる限り申告は少なくし、税金や保険料を払わないよう、払わないようにしている方たちがいます。
でもそうしてしまうと生き残れなくなる可能性も高まります。
というのも、商売、ビジネスをしているとどうしても浮き沈みが生まれます。
開業時からスタートダッシュをかけて資金量が潤沢になればもちろんいうことはないのですが、なかなかそうはいきません。
準備していた開業資金は当初の運転資金で底をついてしまうことも少なくはありません。
もちろんそれではダメなのですが、いつでも融資を受けることができる態勢は整えておく必要はあります。
そのためには赤字決算や赤字申告というのは望ましくはありません。
銀行さんとのお付き合いを大切に
銀行はよく
『晴れているときに傘を貸し、雨の日には傘を貸さない』と言われますが、その通りです。
金融機関から資金調達するためには黒字の決算、申告が必要ですし、きちんとした事業計画も必要です。
個人事業主の場合は味は美味しい、技術力はある、不動産会社でいうと営業力はある。
でも経営力がないということはよくあります。
逆に言うと、それが当然なのです。
経営者ってやることがありすぎて、何もかもを完璧にするということは非常に難しいことです。
長続きするお店、会社にはやはりそれを補うパートナーが必要になってきます。
税理士さんやコルサル業の方など、そうした業務に長けた方はたくさんいますが、開業したばかりの個人事業主さんではなかなかそういった費用を捻出することが難しかったりします。
なので朝から晩まで仕事をし、経営努力をし、資金調達までしと24時間働いている社長さん、経営者さんは少なくはありません。
そこまでしても年収1,000万円、2,000万円あればいいのでしょうが、逆に給料が取れないというケースもあったりします。
サラリーマンの平均年収が400万円そこそこなので、最低でもその倍以上稼げないと実際は旨味がないのですよね。
私も開業当時よく言われました。
『売上が上がった分、全部自分のものになるからいいよね?』
もちろん、
『はい。そうですよね。』
とニコニコ答えていますが、実際はそんなわけがありません。
実際には会社を経営していくには経費もかかりますし、税金もかかります。
つまり0からのスタートではなく、マイナスからのスタートです。
売上が上がらなくても経費はかかります。
私の場合は当初自宅で開業していましたから、その辺りの経費は確かに抑えることはできました。
今シェアオフィスが流行っていますが、そこは事務所スペースを貸してくれるだけでなく、電話の取り次ぎ、お客さまの取り次ぎ、郵便物の受け取りなどもしてくれます。
最初は事務員さんなど雇う余裕はなかなかないでしょうから、こうしたシステムは大変重宝します。
そうしたサービスを利用しながら開業に踏み切り、ビジネスを軌道に乗せるために獅子奮迅の働きをします。
誰もがそうでしょう。
そしてようやく軌道に乗った時にふと気づきます。
赤字はなくなった。
何とか生活できるようになった。
でもこの先どうなるのかな?
先ほど書いていたことです。
もしお客さんが突然こなくなったら?
もし自分が病気やケガで働けなくなったら?
軌道に乗るまではそうした不安を抱えることはありません。
だって、もっと他に悩むことがあるからです。
一通りやり尽くして、やっと軌道に乗った時に、次の展開を考えまた悩む時期が来るのですよね。
お金をかけずにやれることはすでにやり切っているはずなので、次に必要になってくるのは、自分の労力、時間を使うのではなく、お金で時間を買う、より労働力を得るための設備投資であったり、事業展開であったりになってきます。
その時に金融機関から資金を調達しようとすると、決算内容であったり確定申告の内容であったりしてくるわけですよ。
その時点でいくら抗ってもなかなか何ともなりません。
準備と計画が必要なのです。
ここに同じく中小企業庁が公表しているデータがあります。
中小企業向け貸出残高の推移です。
コロナ禍で大打撃を受けた中小、零細企業ですが、政府系金融機関(政策金融公庫さんや保証協会さん)がコロナ対策で莫大な融資を行いました。
誰にでも貸してくれるための制度でしたが、その金額を決めるのはしっかりと申告されている売上高や前年度までの実績でした。
持続化給付金も零細企業にとってはとても助かった制度でした。
こちらは実体がなくても、生死にかかわるという判断だったため不正受給や受給詐欺の温床となってしまいましたが。。
でも、しっかりと申告しており、普段からも銀行さんとのお付き合いをしている人たちにとっては、受給も融資もスムーズに行えたはずです。
個人事業であっても、零細経営であっても、事業計画、経営計画はしっかりと立てておくべきなのです。
賃貸経営も個人事業主と同じ
私は不動産投資を志しているお客さまによく同じ質問をします。
『目指しているものは何ですか?』
目標が違えばそこまで辿り着く方法も違ってきます。
目標が分かればそこに向かった投資方法が定まってきます。
例えば同じ自己資金を持っていたとしても、その方が今40歳なのか60歳なのかによってその投資方法は異なってきます。
同じ年収があったとしても、お勤め先、家族構成によっても投資方法は変わってきます。
『事業を法人化した方がいいですか?』
この質問に対しても同様です。
法人化にはメリットとデメリットが存在します。
そのメリット、デメリットをよく考えてからどっちが得なのか見極める必要があります。
『全てのものには答えがある。』
『でもその答えは見る角度によって異なるものだ。』
ということを認識しておく必要があります。
中学生の時に現代文が苦手でした。
特に『この下線の部分は何を示しているのでしょうか?』
という問題です。
多分少し人と変わった捉え方をしていたのでしょうが、書かれている文章を深読みする癖があったのです。
『たぶん、こう言ってるけど本当はこう考えていたような気がします』
『はい。違います・・・』
と言われて、何回も首をかしげていました。
授業をちゃんと聞いてなかったせいなのでしょうか、答えを聞いても納得ができないことが多かったような気がします。
でも社会に出て、学校で教えてもらったことだけが必ず正解ではないということが分かってきます。
他人と違う正解を導き出す人の方が社会では適応できていたりします。笑
王貞治やイチローなんかもそうですよね。
一本足打法や振り子打法などは教科書通りではありません。
不動産にも教科書はありません。
もちろん一般論は多くの本に書いてあります。
でもそこに全ての事例が網羅されているわけではありません。
人間一人一人に個性があるように、不動産一つ一つにも個性があります。
その一つ一つ全てに共通した答えはありません。
なので何年かごとに頭を悩ませる問題が発生します。
30年やっててもそうなのです。
イレギュラーなことに対応できる能力、これが必要になってくるのですよね。
そのために私たち不動産屋さんがいるわけで、必要なわけです。
でも商売として考えた時に、難しい仕事より簡単な仕事の方が儲かったりします。
何ででしょ?
賃貸経営も個人事業主と同じです。
他の人と同じことをやっているだけでは儲かりません。
それで儲かるなら、昔からの地主さんはマンションを手放したりしませんし、古家を買って始める大家業も、売主さんがリフォームして貸し出した方が原価が安くつくのは間違いないのですから。。
こうしたら満室になる、こういうリフォームをすれば差別化でき満室にできる、そういった知恵や経験があるからこそ戦える土俵です。
そして事業規模を拡大する際にはもちろん金融機関の力が必要になってきます。
コツコツとした実績とお付き合いが積み重なり事業展開ができるようになるわけです。
自営業者さんの時給っていくら?
本題に戻りまして、社長、経営者の時給の話です。
私は以前の会社では、最初の1年間ほとんど休みなしで10時から22時まで働いてました。
持って帰っていたのは生活費だけ。
手取り15万円、20万円で我慢して会社を成長させるために頑張りました。
月300時間と考えると時給500円です。
先日イーロン・マスクさんが、Twitter社の社員に週40時間働くか辞めるかという通告をしていましたが、本人は週120時間働いているそうです。。。
月に換算すると480時間。。
その当時の私の1.5倍です。。
イーロン・マスク氏は役員報酬無償でやっていた時期もあるので、それを考えると時給0円になります。
これは極端な話ですが、個人事業主の社長の時給ってパートさんより少ないこともあるのです。
その代わり、お店や会社が成長し売上も安定してくるとその倍もその10倍も持って帰れるようになります。
いいところだけ見てももちろんダメですが、イヤなところだけ見ればとても経営者などなれませんよね?
なので、せっかく起業したのですから、人が羨む生活をしましょう。
でもそのためにはやはりせっせせっせと働かなくてはいけません。
せめて、仕事の精度と仕事の質を上げて自分の時給が上がるように努力しましょう。
量から質に変革していくことが大切ですよね。
もちろんこれはフリーランスのみなさんも同じです。
フリーランスでも個人事業主でも同じですが、自分の稼ぎは自分次第です。
頑張れば頑張るほど報われる世界ですし、頑張らないという選択肢ができるのもこの立場です。
サラリーマンでは決して味わえないこの環境、楽しんでいきましょう!
というわけで、来年はより仕事の質、そして仕事の量もさらに上げていく一年にしたいと思います。
減らしたいのは体重だけかな?(笑)
それでは。