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2022年11月11日

相続の手続きと流れ

相続では様々な手続きが必要です。

期限が決まっているものもありますので、手続きの流れを把握しておく必要があります。

7日以内 死亡届の提出・火葬許可証の取得
10日以内 年金受給の停止手続き
14日以内 健康保険の喪失届
なるべく早く 死亡保険金の請求手続き
公共料金等の引き落とし口座の名義変更等
相続人の確定・戸籍謄本等の取得
遺言書の有無の確認
自筆証書遺言の検認手続き
相続財産の調査、把握
3ヶ月以内 相続放棄の手続き、限定承認・単純承認の選択
4ヶ月以内 被相続人の所得税の申告・納付(準確定申告)
速やかに 遺産分割協議の実施(遺言書がない場合)
遺産分割協議の際の特別代理人の選任
遺産分割協議書の作成(遺言書がない場合)
預貯金・有価証券等の解約や名義変更・換金
不動産の所有権移転登記
各種名義変更
10か月以内  相続税の申告・納付

死亡診断書の受け取り・死亡届の提出

死亡届

被相続人(故人)がお亡くなりになると、すぐに担当医者や主治医が死亡診断書を発行してくれます。

この死亡診断書がなければ、死亡届や埋葬などその後の手続きを進めることができなくなります。

医師が発行した死亡診断書はしっかりと保管しその後の手続きに備え、コピーも取っておきましょう。

死亡届は被相続人の本籍地・死亡地または届出人の所在地の市区町村役場に7日以内に届け出る必要があります。

世帯主が亡くなったときには、相続開始後14日以内に世帯主変更届も役所に提出する必要があります 

公的年金・健康保険の手続き

年金

故人が公的年金を受けていた場合は、支給を止める手続きが必要です。

国民年金は14日以内に、厚生年金は10日以内に年金事務所で手続きをします。

死亡した月までの年金で未支給のものは同一生計の遺族が受け取ることができます。

健康保険についても資格喪失の届け出が必要です。

国民健康保険、後期高齢者医療制度に加入していた場合は、14日以内に市区町村役場に届け出ます。

会社の健康保険に加入していた場合は、勤務先に手続きを依頼することになります。 

死亡保険金の請求手続き

生命保険

生命保険の被保険者であった場合は、死亡保険金が支払われます。

死亡保険金を受け取るには、契約上の受取人(受取名義人)が保険会社に請求します。

保険金の請求には保険証券と一緒に死亡診断書なども必要です。

公共料金等の引落し口座の変更等

公共料金

電気・ガス・水道・NHK・固定電話・携帯電話・インターネット回線などの名義変更や引落し口座の変更が必要です。

亡くなった人の預金口座は、相続の届出後、凍結され引落しができなくなるため、各事業者に連絡してなるべく早く手続きをしましょう。 

相続人の確定・戸籍謄本等の取得

戸籍謄本

誰が法定相続人になるかを確定するために戸籍謄本を取得します。

相続人を確定するためには、「故人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本」が必要です。

戸籍の内容を確認すると、家族がその存在さえ知らなかった認知した子など意外な相続人が現れることもあります。 

戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得します。

本籍地が異動している場合、前の本籍地でも取得する必要があり、必要な戸籍謄本がすべてそろうまで時間がかかることもあります。

相続手続きでは「相続人全員の現在の戸籍謄本」も必要になるので、あわせて取得しておきましょう。 

誰が相続人になるのかを確定させることはとても重要です。

これが決まらないと相続は始まらないからです。

遺言書の有無の確認

遺言書

遺言書の有無が相続の進め方に大きく影響します。

そのため、故人が作成した遺言書が残されていないかを確認する必要があります。

遺言書があれば、基本的には遺言書の内容通りに、誰がどの相続財産を相続するかが決まります。 

自宅などに自筆証書遺言や秘密証書遺言がないか探すほか、自筆証書遺言が保管されていないかは近くの法務局で、公正証書遺言の有無は近くの公証役場でそれぞれ確認します。 

遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議をすることになります。

遺言書の検認手続き

公正証書

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、家庭裁判所検認を受けなければなりません。

検認とは、遺言書の内容を明確にして偽造・変造を防止する手続きです。

なお、公正証書遺言と法務局で保管されていた自筆証書遺言は検認不要です。 

検認を受けなくても遺言書の内容が無効になることはありませんが、検認のために家裁に遺言書を提出しなかったり、家裁以外で遺言書を開封したときには5万円以下の過料の支払い命じられることもあります。

検認は申立書に必要事項を記入したうえで必要書類を添付し、故人の最後の住所地の家裁に検認の請求をすることになります。 

相続財産の調査、把握

相続財産

遺産分割協議の前提として、故人が所有していた財産を全て確認する必要があります。

財産は、預金や不動産、株などのプラス財産だけではなく、借金や未払金などのマイナスの財産も正確に把握する必要があります。

遺産分割の対象になる財産がどれぐらいあるかを把握するために、被相続人が持っていた財産をくまなく調査しなければいけません。

預金通帳や不動産の権利証(登記識別情報)を探すほか、故人に届いた郵便物も探してみましょう。

金融機関からの郵便物があれば、どの金融機関と取引していたかがわかります。

固定資産税の納税通知書があれば、土地や建物の所在がわかります。

過去の確定申告書を見ると、どのような財産を保有しているかも推測することができます。

また最近ではネット口座(証券や預金)を保有している場合も増えています。

口座名義人にメールが届いていることもありますので、PCのメールBOX、携帯電話のメールBOXを確認して相続財産の漏れ防止を図りましょう。 

相続放棄・限定承認・単純承認の選択

相続放棄

相続放棄とは、故人の相続人になることを放棄することを言います。

個人に負債がある、借金が多いなどの理由で相続放棄または限定承認をする場合は、相続開始を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所で手続きをしなければなりません。

逆に相続放棄しなければ、故人が抱えていた莫大な借金を代わりに返済することとなります。

相続放棄をすると、故人の相続人では無くなるため、相続財産を相続することは無くなります。

相続放棄や限定承認をするかどうかを判断するためには、上記の相続財産の調査、把握が重要になります。

単純承認をする場合は、特に手続きはありません。

限定承認と単純承認

単純承認とは、故人のプラスの財産もマイナスの財産も全ての財産を無条件に承継することです。

限定承認は、故人の資産状況がよくわからないというケースに使います。

「プラスの財産<マイナスの財産」であった場合、プラスの財産の範囲内しかマイナスの財産を相続しないことを申し出するものです。

相続放棄被相続人の財産をいっさい相続しない(放棄する)ことです。

相続人はこの3つの選択肢から選ぶこととなります。

普通に考えれば

プラスの財産>マイナスの財産の場合 → 単純承認

プラスの財産<マイナスの財産の場合 → 相続放棄

となるのですが、現実には、故人の財産がプラスなのかマイナスなのかが不確実なケースがあります。

もし単純承認をすれば、そうした後から発覚した債務もすべて返済する必要が生じます。

限定承認をしていれば、プラスを超える債務の返済義務は生じません。 

相続税申告では、土地・建物・現預金・株式・投資信託・書画や骨董品など、全ての相続財産を洗い出し、評価した財産目録をつくらなければなりません。

しかも国税庁が定めた財産評価に則った評価方法で評価額を計算する必要があります。

この計算には専門知識が必要となり、財産の種類によっては一般人が行うのはかなり難しくなっています。

このように相続財産がプラスなのかマイナスなのか、よく分からない場合に限定承認という方法が役立ってくるのです。 

ただ、相続放棄は一人でも決めることが可能ですが、限定承認は相続人全員の合意がなければ認められません。

一人でも反対する人がいればできませんので、全員でしっかりと話し合う必要があります。 

故人の所得税の申告・納付(準確定申告)

故人が生前に確定申告を行っていた場合は、相続人が代わりに死亡した年の確定申告(準確定申告)を行う必要があります。

申告・納付の期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内です。

一般的に知られている確定申告は、毎年1/1から12/31までの1年間に生じた所得について計算し、翌年の2/16から3/15までの間に申告と納税をする必要がありますが、準確定申告は相続の開始から4ヶ月以内となっていますので、お間違いのないように。

個人事業主でなくても、高額所得者や株式投資をしている方は基本的には確定申告をしているはずなのでご確認ください。 

ちなみに、被相続人が前年分の確定申告をしていなかった場合は、前年分の申告も必要になります。

通常の確定申告との特徴的な違いは確定申告書付表を添付することです。

これは通常の確定申告では不要ですが、準確定申告では必要になります。 

遺産分割協議の実施(遺言書がない場合)

遺言書がない場合は、相続人全員遺産分割協議をして故人の財産をどのように引き継ぐかを決めます。

遺産分割協議に期限はありませんが、相続税の申告期限が死亡後10ヵ月となっているため、速やかに行わなければいけません。 

遺産分割協議後は、相続人全員分の遺産分割協議書を作成し、各相続人が実印で押印、各自で遺産分割協議書を保管しましょう。

作成した遺産分割協議書は、金融機関に提出したり、不動産の名義変更で法務局に提出することになりますので大切に保管しておく必要があります。 

相続人全員での遺産分割協議が整わないときには、家庭裁判所の調停に委ねることもできます。 

遺産分割協議の際の特別代理人の選任

未成年者が相続人になる場合、未成年者には「代理人」を立てる必要があります。

通常、代理人は親が務めます。これを法定代理人と呼びます。

しかし、親も未成年者である子もともに相続人で、相続人全員で遺産分割協議が行われる場合は、親が未成年者の代理人になれないことがあります。

利益相反関係となるからです。

このような場合には、「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てることになります。

そして代理人は未成年者に代わり、遺産分割協議や手続書類の記入・捺印等を行うことになります。

ただし、未成年者であっても結婚している等、成人とみなされる場合もあります。

遺産分割協議書の作成(遺言書がない場合)

遺産分割協議がまとまれば、協議の内容を記した「遺産分割協議書」を作成します。

遺産分割協議書には相続人全員が署名し、実印を捺印します。 

遺産分割協議書はやり直すことができません。

書式に指定はありませんが、自分で作成することが難しい場合は税理士などの専門家に依頼することをおすすめします。

誰が、何を、どれだけ相続するかを記入します。 

不動産の所在地・面積・評価額なども明記します。

 

 

少~し長くなってきたので、一旦今日の分はここで区切ります。

続きは、こちらVol.2からお読みいただけます

 

この記事を書いた人
大西 征昭

オーナー

大西 征昭Masaaki Ohnishi

不動産のことなら何でもお任せ。
ただの不動産屋ではないです、不動産の専門家です

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