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相続は誰にでも起こる
ほとんどの人にとって相続手続きをする機会は、親御さんが亡くなったタイミングでしか起こりません。
なので手慣れているという人はほぼ皆無です。
でも誰にでも起こり得るのが相続です。
こちらに大阪国税局が発表しているデータがあります。
統計によると令和2年の被相続人(お亡くなりになられた人)217,485人に対し、課税対象被相続人は19,470人、その割合は8.95%にも及びます。
相続税制改正前は、相続税対象者は約4%と言われていましたが、改正後はずっと8%を超えて推移しています。
12人に1人、令和2年の数字でいうと11人に1人にまで相続税対象者が広がっています。
また、 令和3年司法統計年報によりますと、遺産分割事件として取り扱われた件数のうち、遺産金額が5,000万円以下の事件が実に76.7%もあったことが分かります。
相続に関しての紛争って、お金持ちだけの話かと思っていた人にとって、このデータは意外だったのではないでしょうか?
遺産が多いから少ないからではなく、もめるときはもめる、そう考えておいて間違いなさそうです。
どうしてこんなことが起こるのか?
それは、故人が亡くなる前に遺言書を書いていないケースが多いのと、分ける資産に偏りが出るせいでもあります。
相続財産の構成比
相続財産の内訳(国税庁のホームページから抜粋)のデータです。
これによると令和2年度の相続財産の内訳は、35.1%が現預金、19.6%が有価証券、土地・家屋で33.2%、その他が19.6%、こういう内訳になっています。
平成3年今から30年前は、相続財産のうち不動産が占める割合は実に3/4以上にも及んでおりましたが、最近では不動産が占める割合が年々下がってきています。
それでも財産のうち約1/3が不動産を占めているわけなので、相続対策において不動産が重要であることには違いありません。
ある頃から、税理士さんや司法書士さんなどが、相続対策といえば不動産対策と声を大にして叫んでおられましたが、不動産の占めるウェイトが低くなったのも、これらの相続対策が功を奏したのかもしれませんね?
相続対策の不動産活用といえば、アパート建築やマンション購入、タワーマンション節税なども有名です。
ただ、相続財産が数億円といった人には確かに効果的な手法ではあるのですが、一般市民にとって考えなくてはいけない問題はそこではありません。
多くの人が直面する問題、それが被相続人(お亡くなりになられた方)のご自宅の問題です。
今の時代、誰でも簡単にマイホームを手に入れられる時代になりました。
親御さん世代はもちろん、相続人世代、お子さんの世代の持ち家率も高まっています。
これの何が問題かというと、家が重複してしまうという問題だけではないのです。
場合によっては、小規模宅地等の特例が使えなくなってしまう可能性があるからです。
小規模宅地等の特例とは、被相続人(故人)の自宅や事業用として使用していた宅地を相続した際、評価額を最大で80%減額できる制度で、この制度の適用を受ければ被相続人が自宅として使用していた不動産(土地)に関して、大幅な相続財産の圧縮ができます。
この辺りのお話は、次の機会にゆっくりとお話しさせていただきますが、相続においてまず問題になるのがご自宅の問題です。
誰に継がせるのか、誰の名義にするのか、相続人が複数いる場合は、この自宅に相当する資産が他にあるのか?
均等に分けなければ家族内での紛争が起こることも考えられます。
すでに自分の自宅を保有している相続人にとって、被相続人(故人)の自宅は無用の長物になるかもしれませんし、次男がその自宅を相続すれば、長男は自宅に相当する現預金を要求してくるかもしれません。
自分が亡くなった後に家族がもめる、こんな姿は見たくないですよね?
それならば、ご自身が元気なうちに誰に何を相続させるかしっかりと意思表示をしておく必要があります。
意思表示の有効な手段として、遺言書があります。
遺言書
本人の意思を伝える遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
いずれの方法で遺言書を残してもかまいませんが、書き方や遺言の内容が無効と言われないためにも、専門家のアドバイスが必要になってきます。
自筆証書遺言は、その名の通り、自筆で書き起こした遺言書です。
財産目録に関しては、パソコンで作成したものも認められるようになっていますが、本文、名前、日付等は必ず自書しなければならず押印も必要です。
公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらう公正証書としての遺言書です。
公正証書遺言を作成する際には、遺言者が遺言書を書いたことを証明する証人が2人以上必要になり、本人と証人、公証人の署名・押印も必要です。
原本は公証役場に保管し、正本は本人が保管します。
公正証書遺言を作成する場合には、財産の額に応じて費用がかかります。
秘密証書遺言は、遺言の内容を誰にも知られないように作成する遺言書です。
遺言書を自分で作成し、内容を秘密にすることができますが、公証役場で公証人と証人2人以上に秘密証書遺言だという確認をしてもらわなければなりません。
遺言書を封緘した封筒に公証人や証人、遺言者本人が署名・押印しますが、遺言内容はあくまでも秘密であり、内容のチェックは行われません。
公証役場の手数料もかかります。
遺言書によりできること
遺言書により財産を譲る人を指定できます。
相続人以外の誰かに受贈することも遺言書によって可能になります。
相続権のはく奪も可能になります。
生前の立ち振る舞いや態度、過去のあつれきにより、この相続人に財産を譲りたくない、そんな意思表示も可能になります。
遺言執行人の指定も可能になります。
家族同士がいざこざにならないように、司法書士の先生や弁護士の先生に遺言執行人を指定できたりもします。
あとは、生命保険の受取人の変更や隠し子の認知なども遺言書に書いておくことで可能になるそうです。
遺言書を残しておくことで、スムーズな相続財産の分与が可能になりますが、あまりにも差別のある遺言書になる場合は、相続人には遺留分の請求という手段も残されていますので、
相続財産の把握をしておくことが重要になります。
不動産の評価を知りたい場合はこちらをご利用ください。
土地面積、建物面積など簡単な数字を入力するだけで査定金額を算出できます。
実際には建物の使用状況、道路などの接道状況によって差異が生じますので、より詳細な金額を知りたい場合は当社のエージェントまでご依頼ください。
不動産は現金・預金と違い分けにくい財産
現金は1/3づつ、1/4づつと分けやすい財産です。預金も同様です。
株券も株価がついていますし、流動性がありますので評価が出しやすい財産です。
相続で一番苦労するのが、不動産と自社株です。
上場企業でない限り、自社株は流動性がありませんが、会社の業績・資産状況によっては思わぬ高額の相続財産になることがあります。
第三者に譲渡して現金化するといった方法もなくはありませんが、残された社員さんの事を考えるとどうしよう。。
こんな悩みを抱えることになります。
事業譲渡、M&Aなど、後継者不在の場合は生前に手を打っておく必要があります。
不動産も流動性がある物件ならそんなに心配ないかもしれません。
都心部のマンション、駅前の更地、これらは比較的換金しやすい不動産です。
農地や山林、郊外の土地などは換金性に乏しい不動産となります。
ご自宅の処分も悩ましい問題です。
残された配偶者の方がそのまま住むなら処分する必要はありませんが、財産が自宅しかない、しかも広大な敷地に建てられた邸宅となると、相続財産の評価も高くなりますし、相続税が発生する場合、納税資金が足りなくなる可能性もあります。
※ここで前述した小規模宅地等の特例の出番です
相続で一番避けなくてはいけない手段があります。
相続税の申告は被相続人が亡くなってから10ヶ月以内です。
相続放棄する場合は、亡くなった日から3ヶ月以内にする必要があります。
遺産分割の協議をする時間がないため、法定相続割合のままそれぞれの持ち分づつ登記をしてしまう。
このケースは実例で多く見られるケースではありますが、不動産を処分する際にネックになるケースも少なくはありません。
一人の相続人は売りたい、もう一人は売りたくない、一人の相続人は早く手放したい、でももう一人の相続人は時間かかっても高く売りたい、こういった意思の違いが生まれることは少なくありません。
相続の申告ではもめなかったけど、売却の話が出た瞬間にもめだす。
こんな話が後を絶ちません。
将来売却する予定がある不動産であるなら、誰かの単独名義にしておく方が動きやすくなります。
ただでさえ換金性に乏しいのが不動産です。
残されたご家族が相続財産を有効活用できるように、円滑かつ円満な相続対策を講じておきましょう。
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身体が動かなくなり施設に入所、認知症を患って意思表示もできなくなってからでは遅いのです。
元気なうちに、そして相続人と関係が良好なうちに相続対策を講じましょう。
最初の第一歩はまずご相談からです。
RE/MAXの不動産エージェントはお客様に寄り添ったご提案をいたします。
保有していたほうがいい物件、今のうちに売却して換金したほうがいい物件、その選定も含めてご提案いたします。
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