理想的なオフィス作りに向けてVol.13
2021年当初、在籍エージェントの数は私を含め14人になっていました。
その中で未経験者は6名、この頃はまだ、チーム内で他のエージェントをサポートするという今の形にまだなっていなかったこともあり、未経験者をサポートをするのにも、正直キャパ的にいっぱいいっぱいかなと思っていた時期でした。
目次
未経験エージェントが最初にぶち当たる壁
未経験者が不動産エージェント世界に飛び込んで、まず最初にぶち当たる壁は集客です。
不動産仲介の仕事をするのにも、まずお客様がいなければ話はスタートしません。
かといって、『不動産屋始めました!』といったら勝手にお客さんが集まってくるわけでもありません。
RE/MAXのオフィスの多くは路面店舗ではないため、飛び込みで新規のお客様が来店することもほぼありません。
では、どうやって集客すればいいの?
ここからです。
RE/MAXのエージェントを志す人たち、前回のBlogでも書きましたが、加入した目的、これは自分のビジネスを構築することです。
業界経験者を除き、彼らは賃貸仲介の仕事をしたいわけでも、売買仲介をしたいわけでもありません。
これはただの一つのツールであって、目的ではありません。
普通の不動産屋さんがやっているように、不特定多数の物件をポータルサイトに入力し、写真を撮りに行き、反響が入るのを待ち電話やメールでやり取りをする、案内をする、契約を取る、この仕事をしたくてエージェントになった人はみなさんが思っているより多くはありません。
自分の身の回りにある不動産相談、引越し機会、ここに関わりたい、自分ならもっとうまく、よりお客さんに喜んでもらえるサービスができる、そう思ってエージェントビジネスに参画している人ばかりです。
なので、このニーズを掘り起こすこと、これがエージェント活動の第一歩です。
『そんなに引越しする人世の中にいないでしょ?』
『不動産の事で悩んでいる人、そんなにいるわけないじゃん。』
こう思っている人たちは、ほぼ不動産業界の人たちだけです。
『家なんか、一生に一回しか買わないでしょ?』
これも凝り固まった固定概念です。
お客様に役立つ知識を身に付ける
住宅ローン控除って、人生で一回しか使えないカードではないこと知っていました?
住宅ローン控除を10年間使い切って、再度物件を売り買いし、住宅ローンを新たに借りれば、そこから再び10年間、13年間住宅ローン控除の恩恵を受けることができます。
居住用不動産の3,000万円特別控除、これも自宅として利用していた不動産を売却した際に出た利益のうち、3,000万円を上限として控除することができ、不動産譲渡税を軽減するという制度です。
何でこんな制度が設けられていると思いますか?
住宅の流通を活性化するために設けられている制度です。
買換える人が多くなければこんな制度は存在しません。
上手に買換えれば買い替えるほど、制度をうまく利用すればするほど得するようになっているのです。
でも多くの人は、売買事由が発生した時に初めてこの制度の存在を知ります。
住宅ローンの支払いが終わった自分名義の不動産を保有したまま、新たに自分が居住するマイホームを購入し、住宅ローンを利用すれば住宅ローン控除を受けることも可能です。
不動産の知識は知れば知るほど、お客様に利益をもたらすことができます。
知識を有効的に活用すれば、お客様の役に立てることばかりなのです。
義務教育、高校、大学でも不動産の勉強、税制の勉強は教えてくれません。
多くの人が知らない知識なのです。
税理士、司法書士、弁護士、不動産業界、保険業界などで働いていない人たちで、
『自分は相続のこと詳しいよ、何でも聞いて!』
こんな人聞いたことないですよね?
多くの人たちは相続の知識、手続きに関して知りません。
今の時代、親世代、子世代、祖父祖母世帯、各世帯で持ち家を持っている比率が高まっています。
『家はやっぱり3つくらいは要るでしょう』
そう思っている人たちはどのくらいの数いますか?
親が亡くなった時、祖父祖母が亡くなった時、住んでいた家をどうしたらいいのか?
誰に相談したらいいのか?
分からずにそのままにしている人は少なくありません。
亡くなった後の家の名義を相続人に書き換えずに、そのまま放置されているケースも少なくありません。
この時手続きをやっていれば簡単に解決できたものが、数年後、10数年後になると解決が困難になることを想像できずに。。
不動産業界で長く働いていると、そんな相談年間通してほぼないよ、そういう人たちにも数多く出会います。
では、なぜ業界の人にこうした相談が来ないと思いますか?
不動産屋さんに頼む、プロに依頼するのであれば、その分野に長けている人に相談したくなります。
当たり前です。
中古車を探しに行くときに、店頭に1台しか車が並んでいないお店より、まず100台、200台並んでいるお店に見に行きませんか?
それと同じで、相続に強い、相続専門と謳っている不動産屋さんに相談に行きたいと思いませんか?
不動産屋さんという看板を掲げているだけでは、こうした案件は入ってきません。
仕事として依頼するのであれば、その分野のプロに、そうでないなら気軽に頼みにくい不動産屋さん、税理士の先生ではなく、身の回りにいるその分野にちょっと詳しい人に聞きたい、そういう思考になりませんか?
最初に相談したい人は、その分野のプロではなく、相談しやすい人なのです。
初めての一人暮らしをするときに、いきなり不動産屋さんに行きましたか?
先に一人暮らしをしている友人や家族にまず相談しませんでしたか?
家を購入する時でも同じです。
まず、身の回りにいる人たちにとって一番相談しやすい人になること、これがエージェント活動の第一歩です。
そして、ここに不動産経験が長い短いは関係ありません。
だって、ただの一番相談しやすい人なんですから。
一番相談しやすい存在
あなたにとってイメージする【一番相談しやすい人】って誰ですか?
多くの人の答えは、友人や家族と言うでしょう。
家族にはなかなかなれませんが、友人になるのはどうでしょう?
友人を作るのは難しい、今まで友人と呼べる人は数人しかいない、こう思う人は不動産エージェントには向いていないかもしれません。
友人という尺度、これは人によって違います。
自分が友人と思っていても相手が友人と思っているかどうかは分かりません。
でも、友人と思える人は数人しかいない、こう自分で思ってしまう人は他人に心を閉ざしていると言わざるを得ません。
私たちの仕事はお客様の個人情報を知り得てしまう立場です。
家族構成から年収まで、様々な個人情報を知ってしまいます。
それなのに担当する自分は心を閉ざしている。
そんな人を信用できませんよね?
心の中に深い闇を抱えている人に、人生相談なんてできないですよね?
相手の懐に自分から飛び込んでいかないと、自分の心の扉を開かないと、友人はできにくいものです。
元々人付き合いが得意でなかった私ですが、心をOPENにして人としゃべっていると人間関係にストレスを感じなくなっていきました。
イヤな人とは付き合わない、イヤな人とは一緒に仕事をしない、こう決めてからはストレスフリーになりました。
それができるのもエージェントの利点です。
不特定多数のお客さまをターゲットにするのではなく、自分が大切だと思う人だけを相手にビジネスをしていく。
大切だと思う人だからこそ、その人のために一生懸命取り組めるし、その人のために知識を吸収しようと努力できます。
なので、お客さんを多く獲得するということが目的ではなく、自分がこの人のために頑張りたい、そう思える人を1人でも多く増やしていく、それがエージェント活動の第一歩です。
私は、
『今回の契約、友人なので手数料まけていいですか?』
こういうエージェントがあまり好きではありません。
それは手数料をまけるという行為が好きではないという話ではなく、その友人以外のお客さまはそのエージェントにとってどう映っているのだろう?
という疑問からです。
きっと、その人にとってお客様がモノであり商品である、そんな見方をしているのではないか?
そう思ってしまいます。
お客様の細かい個人情報まで知り得ているのだから、ある意味それは友人以上です。
友人でもきっと年収まで知りませんよね?
貯蓄額、資産状況まで把握していませんよね?
友人だからおまけする、家族だから手数料をもらわない。
これは、そこでしか自分の存在価値を見いだせていないからこそ出る言葉だと思います。
友人が経営する飲食店に行き、
『友だちなんだから1000円でいい?』
『友だちだから半額にしてよ。』
そんなこと言いませんよね?
1杯のドリンクをサービスしてくれた、少し大盛にしてくれた、これだけで十分嬉しくないですか?
友人と同じように気軽に何でも話せる相手、そう相手に思ってもらうこと、そういう人たちを少しづつ増やしていくこと、これがまずエージェントになってやるべきことなのです。
ちなみに相談はこういうイメージではなく、こんなイメージです。
気軽にふっと電話してしまう、気軽にふっと悩みを打ち明けてしまった、そんな関係ですね。
女性エージェントが誕生そして・・・
前回のBlogでは、女性エージェントが欲しい、そんな話をしていました。
お客さんに寄り添った提案ができるエージェントを増やすこと、それをテーマにしていたこの時期、それを広げていくためには女性エージェントの獲得が必須だと考えていました。
そんな時、ふっとうちのエージェントさんに相談の連絡が入ります。
小谷エージェントのクライアント先からの電話です。
『元々うちで働いていた子なんだけど、大阪に戻ってくることになり、今働き先を探しているらしく。。。』
『いつも小谷さんが楽しそうに仕事しているから、エージェントにどうかなと思って。。。』
こんな相談、話が持ち上がってくるのもエージェントならではです。
早速面談をしました。
自分の考え方、意見もハキハキと言えるしっかりとした女性でした。
しかも不動産営業経験もあり、宅建士資格も保有していたので即戦力です。
気の強さ、協調性など少し心配な要素はあったのですが、やる気、根気はありそうです。
実際エージェントになってからも、
『はい。私がやります。』
『この案件やらせてください。』
どの案件でも真っ先に手を挙げ仕事に取り組んでくれました。
与えた仕事に対しては、一生懸命取り組んでいましたし、期待通りの結果も残してくれます。
案内に行く前にしっかりと物件も下見に行くし、土地などの場合は紹介する前に役所調査まで行う徹底ぶりでした。
不動産屋さんとしてのスキルはしっかりと身についていたんですよね。
ただ、築古の物件、賃貸物件に関しては自分自身があまり好みではなかったのか、辛辣な意見をそのままお客様に伝える傾向があったため苦戦していました。
自分の意見をなかなか曲げてくれない頑固な面があったのですよね。(笑)
あと酒癖があまり良くない。(笑)
それと、長い間大阪を離れていたこともあり、友人知人とは距離が空いてしまっていたため紹介営業という観点からはとても苦労していました。
自分で新規取引先を開拓したり、異業種交流会にも参加し紹介の幅を広げようと頑張っていましたが、紹介の輪が広がるまでには時間がかかります。
ここで少し苦労することになるのです。
周知⇒認知⇒信頼⇒紹介
紹介に繋がるプロセスには、いくつかの順番があります。まず自分の事を知ってもらう、これが周知です。
次に、自分がこういう人物である、こういう仕事をしていると認識してもらうこと、これが認知です。
認知してもらったからといってすぐに紹介に繋がるわけではありません。
紹介料を稼ぐためのビジネスであれば、紹介者が紹介料をもらうためにどんな会社か分からなくても、どんな人か分からなくても紹介をすることがあるかもしれません。
でも、こういう紹介をいくらもらってもあまり意味がありません。
一見のお客さまを送客してくれているのと同じだからです。
紹介された側からすると、あなたは知人から紹介を受けたただの不動産屋の一人にしか過ぎません。
紹介のサイクルを作るためには、紹介者になり得る人に信頼してもらうことが必要なのです。
『この人に任せておけば大丈夫!』
『いろいろ相談して大丈夫だよ。親切に相談に乗ってくれるから安心して。』
こう言ってもらえるためには、あなた自身が信頼に値する人物かどうかの見極めが必要だからです。
一度信頼してもらえれば、この紹介の輪はどんどん広がっていきます。
1つづつ1つづつ、その輪は大きくなり輪が増えていくのですが、このサイクルを作り上げるためには最低でも数ヶ月かかります。
そして長い期間を要し、紹介に繋がった案件ほど、継続して続く関係性へと展開していきます。
ただ、最初の頃はこの成果を感じることは少なく、じわじわと浸透していく、花木が芽を出し花を咲かせるようにゆっくりゆっくり芽吹いていくのが紹介営業です。
なので、エージェント活動で成果が出るまでには一定期間が必要なのです。
元タカラジェンヌ
まさかのエージェントが加入することになりました。
元タカラジェンヌのH多さんです。
エージェントはファンビジネス、これはRE/MAXの研修でもよく使われる言葉です。
お客様にファンになってもらうというか、応援してもらうことが大切という表現なのですが、まさにそのファンを作ることに対してのプロフェッショナルがエージェント参戦表明をしてくれました。
2021年6月の話でした。
彼女は元々ご主人と一緒にRE/MAXのオフィスオーナーになることを試みていました。
タカラジェンヌのセカンドキャリアの道を率先して導きたい、そんな夢が彼女にはありました。
ご主人も長年不動産業を自ら営んでおり、経験豊富な方ですが、それとは違ったテイストの不動産会社を作るためRE/MAXに興味を持っていたのです。
彼女に足りなかったのはただ一つ、自らの不動産営業経験でした。
エージェントを採用するにあたり、エージェント活動がどんなものなのか分からなければ指導もできない、そのためにはまず自らがエージェントとして活動し、後に続くエージェントさんたちの模範になれるようにと。
彼女も積極的にエージェント活動を行いました。
オープンハウスをしたり、反響対応にも積極的でした。
主婦でもある立場でしたので、家庭に仕事にと奔走していました。
ただこの頃の私の指導方法に問題があったのが、売り上げに直結する仕事を作ってあげる、これを優先して考えてしまっていたことです。
彼女らの良さを発揮するためには、不特定多数の反響客を与え経験を積ませることではなく、紹介のループを作ること、その作り方を指導・指南するべきだったのです。
エージェントになる人たちは、一人一人に個性があります。
この指導方法は、このエージェントには向いているが、このエージェントには不向き、反響応対の経験を積ませた方がいいエージェントもいれば、そのフィールドで戦わない方がいいエージェントもいる。
千差万別なんです。
会社のために働く不動産営業マンを育てるのはそれほど難しくはありません。
ルールを決め、会社の方針を伝え、個性を消す作業です。
マニュアル作りにも力を入れた時期がありましたが、そのマニュアルはエージェントには通用しません。
エージェントの個性に集まるお客様、そのお客様方にもそれぞれ個性があり、その個性に対しての対応方法などマニュアル化できないものが多いのです。
2021年上半期は女性エージェント2名の新規加盟もあり、一気に活気ついていく、そんな空気感に期待を膨らませてワクワクしましたし、実際にオフィスには活気があふれました。
この時は。