理想的なオフィス作りに向けてVol.12
理想的なオフィス作りに向けて、このシリーズも12回目となりました。
2021年初頭、エージェントの仲間が次々に増えてはいきましたが、離脱してしまうエージェントも出てきて悩みながらエージェント採用を繰り返していたそんな時期でした。
目次
エージェント採用は好調、しかし・・・
2021年に入ってからも、新規エージェントの採用は好調でした。
ただ、前年度未経験から加入したエージェントさんはほぼ兼業のエージェントさんで、オフィスにもほとんど来れないようなエージェントさんたちでした。
この人たちにしてあげれることと言えば、勉強の機会を少しでも与えてあげること、そして自宅にいながらでも学習する機会を与えてあげることでした。
ただ、自宅でどの程度学んでくれているのか、またどんな活動をしていて、どんな後押しをしていけばいいのかがほぼ分からない状態です。
逆に言えば、本人さんたちも、どう動いていけばいいのか、どんなことを学んでいけばいいのか分かっていなかったんだと思います。
これは完全にオフィス側、私の失態です。
兼業でエージェントになる人たちの目的は大きく分けて二つです。
将来いずれ不動産エージェントとして、今の仕事を辞めても生計を立てれるような基礎知識を学ぶこと。
もう一つは、今の仕事を続けながらも不動産エージェントとしてそれなりの副収入を得れる道を作ることです。
正直、副収入を得れるような仕事の作り方は教えてあげることは可能でした。
不動産案件、不動産に関する相談を拾ってくれるだけで、仕事に変えれるチームをこの時点では確立できていたはずでしたので。
ただ、その風通しがまだこの時期うまくいっていませんでした。。
誰に相談していいのか、どんな風に相談していけばいいのか、そこがうまく機能していなかったのです。
もっともっと初期段階から、ヒアリングの時点で、ベテランエージェントや私が介入しないと話が展開していかない、そんな悩みを抱えていました。
兼業エージェントさんとお客さん、そしてサポートする側の日程調整、この時点でまずうまくいきません。
兼業で活動しているエージェントさんなので、本業がない曜日、時間、そこにお客さんをセッティングするのですが、そのタイミングとサポート側のタイミングがなかなか合わない。。。
考えてみればそりゃそうなのです。
専業で動いているエージェントさんたちは、土日はほぼ案内や契約、家族との予定で1ヶ月の予定が埋め尽くされています。
そこに、日曜日の13時とかにセッティングされてしまうと、午前中も昼からの予定も入れれなくなるので調整がうまくいかないのです。
仕事ができるエージェントさんは、一日の予定を組む時にそのお客さんとの予定だけでなく、他の予定も入れやすくするために時間を調整して予定を組みます。
サポートを受ける側はまず、この予定の組み方から調整しなければいけないのですが、ここからうまくいっていなかったのです。
今は相談が発生した時点から、誰がサポートをするのが適任かそこを決めてから日程調整を試みる、この形に変えています。
これも失敗を経験として、改良を積み重ねていった結果なのですが、この時点ではまったくうまくいっていませんでした。
結局一人で応対してみたはいいけど、全然話が進展していかなかった、相談内容にまったく答えられなかった、こうやって心が折れていき、やる気を失っていく、そうして一人、また一人去っていきました。
兼業かつ未経験ではやはり厳しいな、この時点ではそう感じ、未経験の場合なら兼業の人は避け専業でチャレンジする人に絞っていこう、こう方針を打ち出したのが2021年当初の話でした。
未経験かつ専業エージェントの採用
そう思っていたら、加入面談に来たエージェントがいました。
H松さんです。
彼は、畑違いの会社でサラリーマンをしていました。
ただ、自分が属している業種が斜陽産業であること、そして自分の将来に不安を抱えていたことからエージェントに興味を持ち面談に来られました。
年齢も私と近く、社会人経験は豊富です。
ただ、営業経験はまったくなく朴訥とした印象の人物でした。
正直大丈夫かな、エージェントとして活躍できるかなと不安に思っていた人でしたが、やる気はすごくあり、専業で頑張りますと宣言してくれたので、一緒に頑張ろうと採用を決めました。
RE/MAXエージェントになろうと思ったきっかけは、宅建士の試験に合格したことだったそうです。
勉強をしながら不動産のことに興味を持ち、この仕事にこれからの人生を変えるChanceがあると思ったそうです。
彼は不器用ながらに一生懸命頑張っていました。
彼がまず注力したのは、人とのつながりを増やすことでした。
最初は、会社に入ってくる反響客の対応もしていたのですが、うまくいかず、自分の紹介客を増やしていく大切さに気付いたからです。
どうしても、物件からの反響対応では経験値がモノを言います。
その物件の事を把握しておくことも大切ですが、不動産知識もそれなりに問われます。
聞かれたことに速やかに答えられないと、頼りない営業マンだなと判断されてしまいますし、それなりの年齢だったためお客様の反応は良くありませんでした。
先輩エージェントたちも、案内の流れ、契約の流れなどについていろいろ指導してくれたり、トレーニングも実施してくれました。
その結果、少しづつ結果が出始めます。
最初の契約まで数ヶ月間は要しましたが、その後コンスタントに賃貸契約、店舗の契約など少しづつは結果も残せるようになり、紹介案件も継続できた矢先でしたが、前職と同じ給与分を稼ぐまでには1年では到達できず、エージェントの道をいったん断念し別の不動産会社に就職することになるのです。
その話は一旦おいておき、ちょうどその頃、また新しくエージェントさんが加入することになりました。
次に加入したのは、保険業界に長く従事しているIさんです。
彼は営業経験、業界経験(保険業界)も長く、その道では一流のアスリートです。
ただ、保険・FPという仕事柄、どうしてもライフプランニングに必要な不動産の話が生じます。
今までは、丸々別の不動産会社に紹介していたのですが、その流れが分からないまま紹介するというのもしっくりこなかったのと、もっともっと不動産の事も知りたい、そういう理由でエージェントになりました。
彼は専業ではなく、兼業での参加とはなりましたが、保険と不動産は切り離して考えられない問題だと思っている私にとっては、その分野のプロと一緒に仕事ができる、そのうれしさの方が勝ってしまいエージェントとして勧誘しました。
今ではライフプランニングの中から発生してきた不動産案件を、うまくベテランエージェントに繋ぐエスコートする立場で活躍の場を広げています。
一つ一つの取引に関し、提案する物件や話の進め方を見ること、お客さまからのフィードバックなどで不動産実務の経験を積み重ねていっています。
未経験かつ兼業でも活躍できる土壌を作っていくこと、これが未経験者を採用するオフィス側の責務だとは考えていましたが、これまではうまくいっていませんでした。
でも、初期の段階から別のエージェント、もしくはオフィスオーナーが介入することにより紹介の精度、成約の精度が向上することが見えてきました。
ただ、今までも私自身が関与できるケースでは同様の動きをしていましたが、毎回同行できるスケジュール調整ができるはずもありません。
そこで、オフィスに在籍している他のベテランエージェントさんたち、この人たちを巻き込むような流れを作ることに奔走していた1年でした。
これがようやく機能しだした、それがこの辺りの時期だったのかもしれません。
女性エージェント獲得へ向けて
メンバー的にそれなりに自分が理想としていたメンバーが揃ってきたこの時期でしたが、圧倒的に足りていなかったものがありました。
それが女性エージェントでした。
もちろん初期にJOINした小谷エージェントは健在で、その存在感は際立っていましたが、その後に続く女性エージェントが育っていなかったのです。
私自身長年、不動産営業、不動産エージェントという仕事こそ女性が輝ける仕事、女性の方が向いている職種だと思っていましたので、次に続く女性エージェントがいない、このことに不安要素を抱いていました。
アメリカでは女性エージェントの比率は半々、女性の方が多いという話を聞いたことがあります。
日本での不動産営業マンのイメージはこんな感じ?
おじさんの世界、黒い世界、それがお客さんが不動産屋さんに抱くイメージ。
これが続いている限りこの業界は変わらない、信頼できる取引ができるイメージが定着しない、そう考えていましたから、女性エージェント、しかも活躍している女性エージェントを増やしたいという気持ちがさらに強くなっていきました。
私がこの業界に入った30年前、一緒に同期として働いていた女性社員がいました。
彼女らはとても仕事熱心で、お客様の気持ちにシンクロし、熱い信用を勝ち取っていました。
その頃はインターネットも普及していなかった時代ですし、携帯電話も普及していない時代でした。
オープンハウスに来場してくれたお客様に再度アプローチするためには、自宅に訪問し追客します。
仕事終わりの時間帯にお邪魔するので、夜訪と言いました。
その夜訪をするときでも、男性社員はなかなか自宅に招き入れてくれません。
でも、女性社員なら気軽に自宅にあげてもらっていたのです。
ちょっとしたことを気軽に相談しやすい。
こういう要素もありますし、奥様が理想とする家作り、それにも共感できます。
『子育てしながら料理を作るのには、この位置にキッチンがあったほうがいいですね。』
『毎日のお買い物ですから、スーパーは近いほうがいいです。ここなら〇〇というスーパーが近くにありますし、ここのスーパー生鮮食品が安いんですよ~。』
女性ならではの提案ができるのも魅力です。
どんな家を買おうが、長い時間その家で過ごすのは女性の確率が高く、その女性の気持ちを理解するにはおじさんじゃ難しいのです。
『年収〇〇万円なら、いくらの家まで買えます。』
家の良さうんぬんよりも毎月の支払額、不動産価格の総額、そこばっかりに目が行きがちで、こんな提案が多い今の日本の不動産業界ですが、そうなる土壌は男性社会であること、ここに起因しているせいもあるかもしれません。
私自身、約9年間ほど父子家庭として子育てしていた時期がありました。
この時初めて気付いたことがあります。
家事をやったことのない人に家の事は分かりません。
冷蔵庫を置く場所がここでは調理できない、家族団らんが分断される間取りになっている、家庭で過ごすことの少ない業界の人間に必要のない要素がたくさんマイホームには詰まっているのです。
一生で一番高い買い物である不動産、それを取り扱っていくためにはもっともっとお客様に寄り添った提案をしていきたい、そんな会社のスタイルを実現していくためには、女性エージェントの存在が必要不可欠、そう思っていたタイミングで女性エージェント候補の面談が入りました。
おじさん社会からの脱却を図る第一歩です。