時代が変われば家の買い方も変わる
目次
家は一生に一回の買い物
『家は一生に一回の買い物だから、慎重に選んだ方がいいよ。』
こんな話を聞いたことがありませんか?
今の50代以上の人たちにとってはたしかにそんな時代だったかもしれません。
私もその時代の人の一人ではありますが、私たちが若いころ、住宅購入は成功者の証でした。
『夢のマイホーム』
という言葉も流行りましたし、多くの人にとって年収の1/3を使い住宅ローンを支払っていく、そんな時代でした。
人生を賭けたビックイベント、それが住宅購入だったといっても過言ではありません。
フルローンで住宅ローンを組んだ人たちの総支払額は、購入金額の約2.5倍にも及んでいました。
その当時の住宅ローン金利は6.5%ほど。今は0.65%ほどです。
この違いがどのくらいの支払額の違いになるのか、総支払額はいくらになるか簡単に計算してみます。
借入金額4,000万円、35年返済、住宅ローン金利が6.5%と0.65%で比べてみます。
金利 | 毎月支払額 | 総支払額 |
6.5% | 241,661円 | 101,497,925円 |
0.65% | 106,507円 | 44,733,157円 |
毎月241,661円、この支払額にも驚きですがこの当時は毎月払いとボーナス時支払いを併用していた人が多かった時代です。
毎月支払額を12~3万円ほどに抑えながら、ボーナス時年2回60~70万円づつ支払っていく、こんなイメージでした。
今では考えられない世界ですが、当時はこれが普通でしたし、年収が年功序列で上がっていっていた時代でしたから、
『今払うことができれば年々支払いは楽になっていく』
こう考える人も多かったのです。
こんな大金をはたいて購入していっているわけですから、『一生に一回の買い物』そう思いたくなるのも無理はありません。
それに引き換え、今の平均的な金利での支払額を見てどう思われますか?
『あれ?家賃と変わらないな』
『あれ、うちが支払っている家賃より安いかも?』
そう思われる人も少なくないはずです。
今の時代を生きている人にとって、住宅購入は高いハードルや夢物語、人生を賭けたイベントではなく、賃貸の延長まで下がってきているのです。
将来売却することを考えても買うの?
アットホーム(株)が今月14日に発表した「住宅購入のプロセス&マインド」調査2022年度版によると、こんなアンケート結果がでています。
全体では31.7%の人が、新築マンションに至っては60..1%の人が、中古マンションでも46.1%の人が住み替えを視野に入れて住宅を購入しています。
この数字は数年前に比べて大きく上昇してきています。
買換えされる方がここ数年で大きく増えたからです。
身の回りで買換えした話を聞くと、家を売って、新たに住宅を購入することに対しての抵抗感は一気に消え去ります。
『〇〇ちゃんち、住んでたマンション売って一戸建てに引っ越したらしいよ』
『〇〇ちゃんちのマンション、買った時の金額より高く売れたんだって』
じゃあうちも。こう考えるのは至極当然の思考です。
アメリカの住宅事情
RE/MAXはアメリカの不動産チェーンです。
世界中のエージェントさんたちとも交流が盛んで、年に数回海外からうちのオフィスにも海外エージェントが来訪してくれます。
そのたびにアメリカの住宅事情をレクチャーしていただくのですが、その中でよく出るワードがあります。
買換えタイミングの話、住宅ローンの金利の話、不動産取引の制度の違いなどです。
どこからお話すればいいか悩むのですが、先ほど住宅ローン金利の話が出ましたのでそのあたりから。
今のアメリカの住宅ローン金利は5%~6%あたりまで上昇しています。
先ほどの総支払額で考えると、購入価格の2倍~2.5倍、そういうイメージです。
ただ、彼らは住宅ローンを組んだ最長年数、ここまで住み続けません。
6年から7年で新しい家に買い替えるそうです。
日本人にとってはあまり馴染みがないかもしれませんが、分かりやすくいうと車を買い替える感覚ですかね?
今まで支払っていた金額と同程度、もう少し上乗せしてより広い家に買い替える。
これがすごくスタンダードな考え方です。
アメリカ人は人生で12回の引越し機会を作ると言われています。
それに対して、日本人の平均引越し機会は8回だそうです。
なぜ、この差が生まれるのか?
そこにあるのが、引越しすることへの不安というより、売却・購入することへの不安なのです。
売却するにあたって不安に感じていること
これもアットホーム(株)が今月14日に発表した「住宅購入のプロセス&マインド」調査2022年度版のデータなのですが、不安に感じていることの1番は『希望する金額で売却・貸出できるか?』であり、2位は『信頼できる不動産会社を見つけれるか?』なのです。
その次にも、不思議に思える項目が並びます。
『買い手とのトラブルが生じないか』『手続きが複雑ではないか』『どうやって売却すればいいか分からない』
これらの項目に関していえば、信頼できる不動産屋さんが一人いれば全て解消できる不安です。
というより、アンケート結果のうち私たちエージェントが解決できない問題が一つも含まれていないのです。
ここから読み取れることはただ一つです。
売却に対して不安を抱いている人には、信頼できる不動産屋さんがいないということです。
購入した時に担当した不動産屋さんにもう一度頼みたい、そう思っている人がこんなにも少ないんだという事実です。
売ったら売ったきり。
一度買ってもらったお客さんはもう数年売ることも、買換えることもないから連絡すること煩わしい。
そんな風に考えている人たちが多いというより、ほとんどなんだなという悲しい事実がそこに存在しています。
大きな買い物である住宅購入に関わった営業マン、それを決断した際に立ち会っていた営業マンなんだから、気軽に相談できる環境さえ残して置ければきっともう一度依頼が来るはずなのに。。
引越し機会を少なくしているのは、私たち不動産業界に携わる人たちの問題なのかもしれませんね。
エージェントに求められること
アメリカでの不動産エージェントの立ち位置は、【家を探す人】ではなく【家を買うのに、売るのに最適なアドバイスをしてもらえる専門家】です。
家を探す人であれば、物件ありきですから、いい家の情報を持っている人でなければ相談はきません。
また、今が買い時なのか売り時なのか、そんな相談を受ける立場という認識をお客様が持ってくれていないかもしれません。
でも、自分にとって最適なアドバイスをくれる専門家なら、まず尋ねてみたい、相談してみたい、そう思われる関係性になれているような気がしませんか?
私たち不動産エージェントは、家売る人ではなく、家の事なら何でも相談できる専門家、こうならなくてはいけません。
中古不動産流通をもっと活性化させるためにも、そしてお客様自身がもっともっと健全な住宅購入をライフサイクルとともに実践できるようにしていくのが私たちの使命です。
私が生きている間に、私がこの業界に携わっている間に、日本人の平均引越し機会は10回だよ。
そのうち2~3回は住宅購入するのが一般的だよ。
こう言える不動産業界に変えていきたいと思っています。
不動産の事なら、RE/MAXエージェントにご依頼ください。
みなさまからのご相談お待ちしております。