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  3. 家が欲しいのに買えない時代。“若者の住宅購入難民化”を防ぐために必要なこと
2025年6月2日

買ったはずの家が重荷になる日」──でも、もっと深刻なのは…

最近の調査によると、フラット35の利用者の平均年齢は42.8歳で、40代以上の利用者割合が増加しています。

また、総返済負担率が25%以上の割合は44.1%と、ここ10年で最大となりました。

これらのデータは、住宅ローンの返済負担が増していることを示唆しています。

変動金利よりは安心…と思って選んだ長期固定金利も、家計の変化や収入減、金利上昇への不安から「安心」とは言い切れない現実が見えています。

でも、ここで本当に危惧すべきは、すでにローンを組んだ人たちの話だけではないと、私たちは考えています。

今、もっとも深刻なのは──

そもそも住宅を「買える」と思えていない若い世代が増えていること。

たとえ年収がそこそこあっても、未来が見えにくい社会の中で、

「家を買う」という決断に至れない若者たちが、静かに“住宅難民化”しつつあるのです。

なぜ若い世代が家を買えなくなっているのか?

かつて、家を買うことは「安定の証」であり「家族の次なるステップ」でもありました。

けれど今、その当たり前が当たり前でなくなっています。

ここでは、若者が住宅購入を遠ざける5つの要因を整理してみます。

① 住宅価格の高騰と賃金の停滞

  • 全国的に地価・建築費・住宅価格が上昇中
  • 特に都市部では、20代〜30代の年収では到底届かない価格帯に
  • 一方で、賃金水準は横ばい or 微増にとどまり、“価格の壁”が分厚くなっている

最近売り出されている新築マンションの価格を見ていると、安くても60㎡台で6千万円台、少しゆとりを持った広さである70㎡台、80㎡台となると億近い価格帯になってきています。

こうなると、若年層ではとてもじゃないですが手の届かない金額へと移行してきています。

この流れはますます顕著になってきており、留まることを知りません。

先日もこういうニュース報道がありました。

マンション高騰の原因でもある、外国人による投資目的の実態調査に国交省が着手するというニュースです。

日本全体でも約3割、都心部では5割を超える購入者が外国人であると言われています。

そして、この流れは今後も続きそうなんですよね。。。

② 非正規雇用・独立志向の増加

  • 契約社員やフリーランスなど、収入が不安定な働き方が増加
  • 銀行のローン審査が通りにくく、自己資金もためづらい
  • 「いつまで働けるか分からない」という不安が将来設計を妨げる

非正規雇用化の流れも広がってきています。

こちらは厚生労働省が公表している【正規雇用労働者と非正規雇用労働者の推移】のデータです。

全体の約36.8%が非正規雇用となっています。

非正規雇用の人向けの住宅ローンというのも、以前に比べて増えてはきていますが正規雇用者と比べるとやはり貸出条件は厳しくなっています。

フリーランスや独立起業に向かった人も増えていますが、住宅ローンという商品を利用するには正社員の立場の優位性は保たれたままです。

こういった動きも、若い世代の住宅購入離れに拍車をかけている部分もあるのですよね。

③ 結婚・出産の晩婚化、単身志向

かつて住宅を購入するタイミングといえば、「結婚」「出産」「子どもの進学」など、家族のライフイベントに合わせたものでした。

しかし今、そうした“人生のマイルストーン”が後ろ倒しになる傾向が強まっています。

  • 日本人の平均初婚年齢は、男性31.1歳・女性29.7歳(2023年時点)と年々上昇中
  • 「生涯未婚率」も増加傾向にあり、50歳時点で未婚の人の割合は男性28%、女性18%を超えています
  • 晩婚化に加えて、「そもそも結婚しない」「子どもを持たない」という選択肢も一般化してきました

こうした変化によって、以前は当たり前だった

「家族を持つ=家を買う」というライフパターンが崩れ始めています。

さらに、「持ち家=一家団らんの象徴」という価値観も薄れつつあります。

  • ひとり暮らしを肯定的にとらえる風潮
  • 同棲や事実婚、DINKs(子どもを持たない共働き夫婦)など多様なライフスタイル
  • 賃貸でも十分に快適な暮らしができる社会環境の整備

これらが重なり、「家族のために買う家」から「誰のために?何のために?」という問いが生まれ、

“家を持つことの動機づけ”が極めて曖昧になっているのが今の現状です。

とはいえ、単身者が住宅購入という例も増え始めています。

今までの時代、結婚するのが当たり前、いつか結婚するから単身の間に家を購入するのはちょっと・・・

そう思っていた人も少なくはありませんでした。

しかし現代では、自分の単身生活をより充実するための住宅購入、この選択肢が生まれ始めてはいるのです。

まだまだ少ないですが・・・

もっと、「自分のために」「未来の自由のために」家を買うという、新しい住宅購入の価値観が必要とされているのかもしれません。

④ 固定観念の変化:「買う=幸せ」の崩壊

  • SNSやYouTubeなどの影響で、“ミニマルライフ”や“自由な暮らし”が脚光を浴びる
  • 「持ち家=負債」「ローンはリスク」という意識が若年層に根付いている
  • 特に都市部では「買うより借りる方が合理的」と考える人も多い

1980年代、「いつかはマイホーム」と思って、こぞって郊外で一軒家を購入するという流れがありました。

都心部で高騰した不動産価格、買えなくなった人たちは郊外の手の届く範囲での住宅購入を試みました。

そういった面では今と背景が似ている面もあるかもしれません。

満員通勤電車で1時間以上揺られ出社し、夜遅くまで残業をする。

日曜日は疲れ果てて家でぐったり・・

そんな父親世代の姿を見ている人たちは、同じ想いをしようとしていないのかもしれません。

買う=幸せではないのです。

⑤ 情報の断絶と、未来への無計画

家を買う・買わない以前に──

「どうやって買うのか分からない」「どこから情報を得ればいいか分からない」という状態にある若者が、実は非常に多いのです。

たとえば…

  • 「住宅ローンって何種類あるの?」
  • 「頭金っていくら必要?」
  • 「自営業だと買えないの?」
  • 「固定金利と変動金利って何が違うの?」

こうした基礎的な住宅・金融知識が、学校教育でも家庭でも教わる機会がないまま社会に出ていきます。

その結果、家を買うという人生の選択肢が「そもそも意識の中に存在しない」まま、20代、30代が過ぎていく。

さらに、SNSやネット情報はあふれていても…

  • 発信者の背景が不明(本当に有益か判断できない)
  • 「不動産は危ない」「ローンは地獄」といった極端な意見が目立つ
  • 専門家の言葉が難解 or 押し売りっぽいと敬遠されがち

このように、情報の“量”はあっても、信頼できる情報源や、判断の軸が育っていない状態になっています。

結果として、こんな悪循環が生まれます

「分からない → 調べない → 検討しない → 動けない」

つまり、**“無関心”ではなく“無力感”**が家を買う行動を止めてしまっているのです。

将来の暮らし方を考える機会さえ持てば、「賃貸でいい」ではなく「賃貸も選べる」「持ち家も選べる」という視野が開けるはず。

でも、そのスタートラインに立てていない人が、実はすごく多い──それが今の日本の住宅教育の現状なのです。

住宅購入に関する知識や情報が不足していることが、若者たちが家を買う選択肢を持てない一因となっているという話でいえば、

住宅ローンの種類や金利の仕組み、頭金の必要性など、基本的な知識を得る機会が限られています。

学校教育においても、金融リテラシー教育は十分に行われていません。

金融庁が策定した「金融リテラシー・マップ」では、高校生段階で身につけるべき金融知識として、家計管理や生活設計、金融商品の理解などが挙げられていますが、実際の教育現場での実施は限定的です。

また、社会人向けの金融教育も不足しています。

このような状況から、若者たちは「どうやって家を買えばいいのか分からない」「誰に相談すればいいのか分からない」といった不安や疑問を抱えたまま、住宅購入を検討することなく時間が過ぎていくのです。

結果として前述した通り、「分からない → 調べない → 検討しない → 動けない」という悪循環に陥り、住宅購入の機会を逃してしまうケースが増えています。

このような情報の断絶を解消し、将来の住まい方を計画的に考えるためには、学校教育や社会人向けの金融教育の充実が求められます。

また、信頼できる情報源や相談窓口の整備も重要です。

若者たちが自分のライフプランに合った住まいを選択できるよう、社会全体でサポートしていく必要があります。

その一役を私たちRE/MAX L-Styleのエージェントが担うことができないか、そう考えています。

RE/MAX L-Styleでは、マイホームセミナーを実施(沖縄で定期開催中。大阪でも今秋実施予定)しています。

また、相続の勉強会(少人数でのセミナー方式)も定期的に開催しております。

私たちは、住宅購入に興味を持っていただく機会を提供します。

個別相談会は随時実施しておりますので、もっと詳しく聞きたいという方がいらっしゃいましたら、お気軽に各エージェントへお尋ねください。

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この記事を書いた人
大西 征昭

オーナー

大西 征昭Masaaki Ohnishi

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ただの不動産屋ではないです、不動産の専門家です

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