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利回り〇%
不動産投資をしている人たち、特にサラリーマン大家さんたちと話していると
『〇〇さんの持っている不動産、平均したら何%利回り回っているんですか』
こんな会話がよく飛び交っています。
これらの会話でよく登場するのが、【表面利回り】という言葉と【実質利回り】という言葉です。
表面利回りというのは、年間の家賃収入を物件の購入価格で割った数字です。
表面利回り=(年間の家賃収入)÷(物件の購入費用)
これに対し、実質利回りというのは年間の家賃収入から1年間にかかるランニングコスト(管理費や固定資産税など)を差し引いた数字を物件の購入費用(仲介手数料や登記費用なども足す場合もあります)で割った数字です。
こちらの方がよりリアルな数字が把握できるようにはなります。
でも実際にそうなのでしょうか?
築古戸建投資が流行り出した当初、表面利回り15%、20%、このくらいの数字を目指しましょうという人たちが増えました。
200万円で買った戸建を200万円かけてリフォームし、家賃5万円で貸し出せれば表面利回りは15%になります。
(5万円×12ヶ月)÷(200万円+200万円)=0.15 ⇒15%
200万円で買った戸建を100万円のリフォームで終わらせ、家賃5万円で貸し出せれば表面利回りは20%になります。
(5万円×12ヶ月)÷(200万円+100万円)=0.2 ⇒20%
同じ物件をいくらリフォーム費用をかけて、いくらで貸し出すか、ここが高利回りを生み出す争点になってきますので、工事業者にリフォームを頼むのではなく、自分自身でできる工事は自分でする、DIY大家さんが増えたのも当然の流れだったのかもしれません。
大家業って
大家さん、家主さん、オーナーさん、呼び方はいろいろありますが立場は【貸主】さんです。
貸主は建物を貸し出し賃料を得る代わりに、建物を維持する義務が生じます。
給湯器が故障すれば直ちに修繕する義務が生じますし、雨漏れが発生すれば直ちに補修する義務が生じます。
賃料を得る代わりの代償というか、義務を履行した時の対価が賃料になります。
ですので、先ほどの実質利回りを計算する時に、将来発生するであろう修繕費用を計上しておく必要があります。
家賃収入が年間60万円、1年目は何もクレームが入らず補修費は0、でも翌年給湯器が壊れ雨漏りも発生した。
修繕するのに80万円かかった。
この場合の実質利回りっていくらになるのでしょう?
マイナスですよね。笑
家賃滞納が発生したらどうなるでしょう?
今の新しい賃貸借契約では、ほとんどのケース、保証会社に加入していただいております。
保証会社にさえ加入していただいていれば、万一家賃滞納があった場合でも、保証会社がその滞納家賃を弁済してくれます。
ですので、家賃滞納の心配はなくなっていますが、従前からの契約の場合この保証会社に加入していない賃貸契約も数多く存在しています。
この場合は管理会社に委託している場合はその管理会社経由で、管理会社に委託していない場合はその未回収分を自分自身で回収しなくてはいけません。
回収できなかったら家賃収入は0のままです。
契約上は賃料5万円、でも未回収のまま。この場合でも未収金分として賃料収入は計上しなくてはいけません。
収入は0なのに、所得税はかかる。
このようなことも発生しうるのです。
そう考えれば保証会社の存在は大家さんにとって非常にありがたい存在にはなっていますよね。
ただ、家賃滞納の心配がなくなったとしても空室のリスクはつきまといます。
今は満室で家賃収入が〇万円、でも空室になればその分の収入は減りますよね。
表面的な収入だけにとらわれるのではなく、将来発生するであろう空室損失、修繕費も計算に入れて収支を組み立てる必要があります。
大家業は長期的ビジョンで物事を見る必要があるのです。
初年度だけ、今年度だけの収入、支出だけでなく、Totalバランスで物事を見ていかなければ実質的な収支は把握することができません。
収支が確定するのは、物件を売却した時だけです。
DIY大家さん
DIY大家さんが増えましたよね。
これはこれで別に悪い流れではありませんし、昔からの大家さんでも自分自身でマンションの掃除に行ったり、鍵交換をしたり、水道のパッキンを交換したり、そんな大家さんも皆無ではありませんでしたから。
あとはその技術、腕の問題です。
自分の自宅を自分の好きなようにDIYする。
これは全く自由です。
自分の買った不動産を自分でDIYして貸し出す。
これも規制はありませんので自由です。
なので、自宅でもやったことのないDIYを買った築古戸建で初めて実践する。
こういう人たちもいらっしゃいます。
いいんですよ。
法律で禁じられているわけではないですし、プロの大家さん、不動産屋さんが所有している賃貸物件でも
『これ、ほんとうにリフォーム後?』
と思うような物件がないわけではないですし。。
要は借り手さんが気に入ればそれでいいわけですから。
工事を業者さんに丸投げといっても、みなさんが工事屋さんにツテがあるわけではないですし、不動産会社さんに丸投げ、これも避けた方がいいかもしれません。
なぜかというと、不動産会社さんは今から募集する部屋を、決めるのが仕事です。
より決めやすい条件で募集できる方が楽ですから、
『これは交換しましょう。ここも新品に入れ替えたほうがいいですよ』
予算なんか関係なく勧めてくるでしょう。
そうなると収支がかなり圧迫してします。
工事屋さんに丸投げするにしても、不動産会社に依頼するにしても、どこまでの工事をどのくらいの予算でできるのかは知っておいた方がいいに決まっています。
そのためにはまず自分自身で実践してみる、このプロセスも大切です。
工事を発注する、ここで知っておかなければいけないことは、DIYでできる予算と業者に発注する予算では変わるのが当たり前ということです。
DIYには自分の日当が入っていませんが、工事屋さんが出してくる工事費の見積書には職人の日当が入ってくるからです。
『職人さんの日当って1日1万円?2万円?』
もしその職人さんが素人同然の職人さんなら、その日当で仕事を請け負ってくれるかもしれませんが、一人前の職人さんならそういうわけにもいきません。
DIYすることでその職人さん分の日当は浮くわけですから、DIYは有効な手段です。
サラリーマン大家さんが増え、DIY大家さんも増えました。
でも、サラリーマンをやりながらDIYをすることは容易ではありません。
休日にせっせせっせと物件に出向き、毎日数時間DIYに興じる。
これを趣味ととらえ、楽しみながらできるならアリかもしれませんが、思っているより時間が消費されることに気付くのは工事を始めてからです。。
『あっ。ノリがない。。あっ。寸法が少し足りない。。』
最初はこんなことの連続だからです。
最初から業者さんに頼めばよかった。
こんな声が聞こえてくることも少なくはありませんので。笑
大家業、今と昔の違い
以前なら、マンションオーナーってお金持ちか地主さんしかなれない職業でした。
サラリーマンの人が
『マンション買いたいんだけど』
と言っても、貸してくれる金融機関などそうそうなかったからです。
無担保のこの土地を担保にして、無担保の自宅を担保にして、やっと貸してくれた時代が長く続きました。
それが今は変わりました。
サラリーマンでありながら、ほぼフルローンでアパートローンを組める時代になっています。
これってすごいChanceだと思います。
今の日本の金利は世界各国を見てもかなりの低水準です。
アパ―ローンでも2%台~3%台の金利で資金調達が可能です。
20年前、30数年前地主さんたちがこぞって新築マンションを建てていた頃の調達金利と変わりません。
しかも、地主さんたちは先祖代々の土地を担保に入れ建築費を借りるのがやっとだったのが、今は土地付きの建物を購入する資金を、ほぼフルローンに近い形で資金調達できてしまいます。
なので、言い方が少し乱暴にはなりますが、誰でもマンションオーナーになれる時代です。
ですが、マンションオーナーになったからといって、だれでも成功するわけではありません。
参入障壁が下がったということは、競争が激化しているということに気づかなくてはいけません。
黙って保有しているだけで儲かるなら、誰も手放したりしないからです。
手放す理由がそこには潜んでいるということを理解する必要があります。
『時代の流れについていけていない』
『時代のニーズにマッチしていない』
『昔の考え方から脱却できていない』
『そもそもの改装資金がない』
空室が多い物件には必ず理由があります。
これらの理由が手放す理由であるならば、改善できる余地は多分にあります。
でも
『頼りにしていた大学や企業が移転してしまった』
駅から遠すぎてそもそもの賃貸ニーズがない。
地域が過疎化してしまい、賃貸人口が皆無。
こんな理由なら、テクニックで補いきれない部分がでてきます。
避けるべきでしょう。
期待利回りが下がってしまって、良い物件が出回っていない。
これは参入障壁が下がっている分仕方がありません。
一時期に比べ各金融機関がアパートローンに対し消極的になってきている面はありますが、全くその入り口がふさがってしまっているわけでもありません。
なのでまだまだChanceは残されています。
新しく大家さんになる人に求められるもの
昔の大家さんと今の大家さんとの間には根本的な大きな違いがあります。
それは、物件に対しての思い入れです。
昔ながらの大家さんは物件を手放すことを考えたりしていませんでした。
入居者に長く住んでいただくことを基本に考えていました。
なので、入居者の不便になることは全て解消していましたし、必要なものは必要と割り切り、出すものは出す、出さないものは出さない。そういう経営判断をしっかりと行えていました。
なので、入居者と大家さんの関係は良好に保てていましたし、長いスパンでご入居いただいたりしていました。
でも最近そうでない大家さんが増えてきました。
投資の一つとして割り切っている部分もあるのでしょうが、すごくドライな大家さんも増えています。
入居後にいろいろな不具合が発生したり、入居者からクレームが来たら
『この物件もう売ってほしい。できればかかった原価は回収したい』
少し自己都合が激しすぎる大家さんも増えました。
自分の思うようにならないから売る、不動産投資、これも投資の一つの話なので全然ありではあります。
言わば損切りですよね。
ここまではいいのです。
個人の問題なので。
ただ、入居者側も決してバカではありませんので、クレーム対応が遅い、修繕依頼に対し迅速に対応してくれない、これらが退去理由にもつながっていきます。
どうせ売るならお金かけて建物を直すのはしなくていいか、この考え方が危険なのです。
長期保有するなら当然修繕すべき箇所を、売るかもしれないので修繕しない、こんな物件を誰が買うのでしょう?
多分不動産業者だけです。
しかも、買いたたかれて売ることになるでしょう。
目先の数字だけにとらわれてしまうと、結果大きな損失につながることもあります。
利回り〇%という数字に惑わされるのではなく、堅実なマンション経営をお勧めします。
堅実なマンション経営をしていれば、あなたが持てる選択肢は2つあります。
そのまま保有しておくか、売却するか?
売却する場合でも、今売却するのがいいのか、もう少し先に売却するのがいいか、ここでも選択肢を持つことができます。
これが正しい不動産投資の形です。
多くの不動産投資で失敗している人たちは、その選択肢が持てなかった人たちです。
売却するしかない、保有し続けるしかない、このどちらかの選択肢を強いられるから失敗したのです。
例え利回りが低くても、安定した収入・キャッシュフローが入ってくる物件は優良物件ですし、例え高利回りに見える物件でも、常に空室が発生したり、多額な修繕費が必要になっている物件などは優良物件とは言えません。
数字は分かりやすい指標に見えるかもしれませんが、その数字に潜む罠には気をつけましょうね。
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