【空家問題】空き家は「突然」増えたわけじゃない
目次
10年以上前から見えていた未来と、2026年の現実
全国各地で空き家が大量に発生しています。
ニュースでは時々取り上げられますが、
この状況は決して突然起きたものではありません。

総務省が発表した令和5年住宅・土地統計調査、住宅数概数集計(速報集計)結果によると、空き家数は900万戸と過去最多、2018年からでも51万戸の増加、空き家率も13.8%と過去最高の数値となっています。
この原因は、
アパート建築ラッシュ。
古い空き家の相続問題。
核家族化による住宅の非活用。
と1つ2つの問題によるものではなく、これらは、10年以上前から十分に予測されてきたことです。
いないとは思いますが、もし今になって
「こんなことになるとは思っていなかった」
と言っている人がいるとしたら、不動産に関わる人間としては正直かなり厳しいと言わざるを得ません。
30年変わらなかった賃貸事情
私は30年以上前、賃貸業界に入りました。
当時の収支シミュレーションでは、
2年ごとに家賃が3%、5%と上がる前提で数字を組んでいました。
実際、その通りに賃料が上がっていた時代もありました。
バブル崩壊後もしばらくは続いていました。
ところがある時期から、
「家賃は上がるもの」ではなくなり、
新規募集のたびに家賃を下げるのが当たり前になっていきました。
つまり、
この時にはすでに、右肩上がりの賃貸市場は終わっていたのです。
しかしそれでも建築は止まりませんでした。
そこでハウスメーカーが打ち出したのが
サブリース契約という仕組みです。
右肩上がりが無理なら、せめて横ばいの数字を出したい。
商品を売るためには、その形しかなかったのですよね。
ただ、冷静に考えれば分かる話です。
同じ家賃を何十年も保証し続けるなんて、現実的に不可能です。

だから契約書には必ずこう書かれています。
「近隣相場の変動、公租公課の変動等により賃料が著しく不相当になった場合、賃料を変更できるものとする」
要するに、状況が変われば条件も変えます、という一文です。
問題は、それをどう説明していたか。
営業の現場では
「家賃保証です」
「30年安心です」
そんな言葉だけが一人歩きしていました。
お金を貸す側も同様です。サブリース付きなら長期融資をしましょうと。
未来永劫変わらないものなんて、この世にありません。
どんなに愛し合って結婚しても離婚することがありますし、
終身雇用だと思って入った会社でリストラされることもある。
これ今現実的に起こっている話ですよね?
それなのに、昨日今日会った営業マンの言葉だけを信じてしまい‥
信用することと、丸投げすることは別です。
この“丸投げ構造”が、賃貸住宅を過剰に増やしてきました。
さらに追い打ちをかけたのが
相続対策としてのアパート建築です。

相続税評価が下げるためのマンション、アパート建築。
現金より不動産に変えた方が相続税的には圧倒的に有利です。
数字の世界では正しいんですよね。
でも多くの場合、
相続税対策にはなっても
不動産そのものの価値は下がっています。
立地を無視した建築。
需要を無視した供給。
20年後の出口を考えない設計。
相続時に、本来払うべき税金は減ります。
でもその代わり、資産価値も落ちる。これって正しいやり方だったのでしょうか?
しかし、相続税スキームに乗っかり、そんな物件が全国に量産されました。
しかも今は人口減少社会です。
人も世帯も増えていないのに、新築だけが増えています。
しかもこれは、需要創出ではありません。
人口は減っているのはみんな周知の事実です。賃貸人口も増えるどころか減っていっていたのが、この30年間でした。
なので、既存物件から入居者を奪っているだけの話だったのです。
新築が埋まれば、古い物件が空きます。
その古い物件が、次の空き家予備軍になります。
新築が悪いのではありません。
「場所と需要を無視した新築」が問題だったのです。
多様化する賃貸ニーズ

さらに、賃貸ニーズはこの30年で大きく変わりました。
昔は和室が当たり前。
そこからバス・トイレが分かれた間取り。
オートロック付きマンションが誕生。
でも、これも今の若い世代にはほとんど響きません。
間取りは、確実に10年周期で時代遅れになります。
アパートは建った瞬間から陳腐化のカウントダウンが始まる商品です。
想定利回りは崩れ、
家賃は下がり、
修繕費は上がっていきます。
これも空き家が増える構造的要因です。
今では、バス・トイレそれぞれ独立は当たり前。
脱衣所付、インターネット無料も普通。
広めのリビングに、ベッドスペースだけの寝室。
時代とともに主流の間取りは変化しています。
宅配BOX設置、高速インターネットも使えるように。
ウォシュレットや浴室乾燥機、求めるものがどんどん増えていますので、
これにすべて対応するっていうのは大変です。
相続問題も多様化

そしてもう一つの大きな原因が、相続です。
相続登記をせずに放置されてしまうと、
相続人はどんどん増殖していきます。
最初は2人、3人だった相続人が、
孫の代になると10人、20人に膨れ上がります。
その中には、海外に行って連絡が取れない人。
認知症で施設に入っている人もいるでしょう。
全員の同意が取れず、
売ることも貸すこともできなくなるのです。
固定資産税の通知は代表者だけに届く。
だから他の相続人は現実を知らないことも少なくありません。
そしてそのまま放置してしまうことになります。
こうして“誰も動けない不動産”が生まれていきます。
なので、2024年から相続登記が義務化されました。国がようやく本腰を入れた制度です。
ただ、登記をしただけでは流通しません。
相続人20人問題は解決しないのです。
だって、構造は何も変わっていないのですから。
注目されていた空き家対策特別措置法ですが

空き家対策特別措置法も同じです。空き家対策特別措置法は、2015年に施行され2023年に改正されました。
施行当初は大きく報道されました。
危険空き家は行政が撤去できる、と。
でも実際に行政代執行まで進むケースは、全国で年間せいぜい数十件レベルです。
助言や指導は何万件と行われていますが、
最終手段である行政代執行は極めて限定的なのです。
自治体には人も予算も足りない。
そのうえ、所有者特定に時間がかかる。
また、撤去しても費用回収が難しい。
結果として、壊して終わり。
更地になっても流通しないし、誰も本気で困らない。これでは社会は変わりません。
制度はできたのに、現場で使われていない。空き家問題は「壊せば解決」ではないのです。
壊した後にどうするか?この後のレールがない。ここが最大の問題です。
壊した後に、強制的に売却させる。
この売却費用から解体代を強制的に回収する。このくらいのことが必要じゃないのかな?
被相続人居住用財産の3,000万円特別控除(通称:空き家特例)
これは簡単に言うと、「独り暮らしだった親の実家を相続して売却した際、売却益(儲け)から最大3,000万円を差し引ける」という、節税効果が非常に大きい制度です。
でも、この被相続人居住用財産の3,000万円特別控除も、
要件が厳しすぎて使えないケースが多いのですよね。

絶対に外せない「4つの基本条件」
この制度を使うためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 独り暮らしであること: 親(被相続人)が亡くなる直前までその家で一人暮らしをしていたこと(老人ホームに入居していた場合も、一定条件で対象になります)。
- 一戸建てであること: 昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた古い一戸建てであること。マンションは対象外です。
- 空き家のままであること: 相続してから売却するまで、貸したり住んだりしていないこと。
- 売却額の制限: 売却代金が1億円以下であること。
売却時の「ルール」
ただ売るだけでは適用されません。以下のいずれかの状態で引き渡す必要があります。
- 更地にする: 家を壊して土地だけにして売る。
- 耐震リフォームをする: 今の耐震基準に合うように直して売る。
※【2024年(令和6年)からの緩和】 これまでは売主が壊すか直す必要がありましたが、改正により「売った後に買主が壊したり直したりする場合」もOKになりました(翌年2月15日までに完了する等の条件あり)。
期間と金額の注意点
- 期限: 相続した日から3年後の12月31日までに売却する必要があります。
- 人数による減額: 相続人が3人以上の場合、1人あたりの控除額は2,000万円に減ります(2人以下なら3,000万円ずつのままです)。
手続きの流れ
- 自治体へ申請: 家がある市区町村に申請し、「確認書」を発行してもらいます。
- 確定申告: 売った翌年の2月〜3月に、税務署へ確定申告をします。税金がゼロになる場合でも申告は必須です。
どうですか?
耐震リフォームか解体が必要。
旧耐震限定。
難しくないですか?現実と制度がズレています。
空き家を減らしたいなら、
売る人の負担を軽くする。
買う人のメリットを増やす。
ここを本気で設計しないと空き家はなくなりません。
では空き家の活用は何が正解なのか。
リフォームして賃貸でしょうか?
それで一つ空き家が減っても、
相続対策の新築アパート建築同様、別の物件が空くだけかもしれません。
だから私は、
セカンドハウス的利用。
小規模再生。
民泊転用。
狭小新築への転換。
こうした“住まいの再編集”が必要だと思っています。
どうせ空いている家です。だったら、新しい使い道を考えればいいのです。
そして何より大事なのは、
机上で語らないこと。自分でやること。実績を作ること。
実際に空き家を買い、再生し、このモデルを作る。
それができて初めて、提案が現実になります。
10年以上前に見えていた未来が、
いま現実になっています。
空き家は「突然」増えたわけじゃない。
社会構造的に、作られてきたものです。
だからこそ、構造自体から変えないといけない。
私はこれから、実際に空き家を扱い、再生し、次の住まいの形を作っていきます。
売るに売れない空き家。
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こういう不動産があれば、RE/MAX L-Styleにお声がけください。私たちが空き家の有効活用を考えます!






