日本の不動産業界はアメリカに20年遅れている

 

日本の不動産業界はアメリカの20年遅れと言われています。

これは今に始まったわけではなく、バブル絶頂期である30年前から言われている言葉です。

日本の国力が落ち、もはや先進国と言えなくなった今の日本、その日本のことなら分かります。

でも、世界をリードしていた頃の日本でも、アメリカの20年遅れと言われていたのです。

ここ数年、いや、ここ十数年さすがの不動産業界も大きく変わった点があります。

インターネットの普及で、広告媒体が紙ベースからネットベースに変わりました。

手書きのPOPが、パソコンで作ったPOPに変わりました。

今のZ世代は幼少期からスマホやPCに慣れ親しんだ世代です。

そのスマホで見れる広告媒体に変わっていったのは、生き残っていくための仕方ない選択だったわけです。

残業が減り、休日が増えました。

働き方が世間で議論されるようになり、大手不動産会社などでは世間体、雇用されている側からの訴えに備え、週休2日制や休日出勤への制限などの対応を強いられるようになりました。

ということで、労働環境は少しだけ改善されました。

『えっ?それって不動産業界だけでなく、どの業界にも当てはまることなんじゃ?』

はい。おっしゃる通りです。

コロナ禍で、小学校さえもリモート授業を導入するようになり、一般社会でもWEB会議が導入されるようになりました。

そりゃさすがの不動産業界も、その社会の流れには逆らえず、順応とまではいかないまでも多少は変わりました。

でも、多少は変わったという程度です。

では業界が変われない理由は何なのでしょう?

それは、古くから染みついた日本の不動産業界の慣習に起因しています。

 

情報の非対称性

情報の非対称性

日本の多くの不動産会社が一般消費者との【情報の非対称性】によりビジネスを展開しています。

【非公開物件】【未公開物件】という言葉があります。

『一般の方にはまだ公表していない情報ですよ』

『他のお客さまには内緒なのですが・・・』

何かプレミア感が増しますよね。

『自分だけ特別なんじゃないか?』

『この情報ってひょっとしてチャンスなんじゃない?』

ここにしか勝機を見いだせていないので、不動産業者自体も物件を非公開化する流れが後を絶ちません。

ポータルサイトには【セールスポイント】はしっかりと書かれていますよね?

でも少しネガティブな情報って、小さい字で書かれてあるか、もしくは書いていないか、この2択しかありません。

不動産業界、ポータルサイトには、他の商品のような買い物かごにポチっと入れるシステムが備わっていないので、見に来た時に説明すればいいや、契約する前にさらっーっと説明しておけばいいか、そんな風に考えてる不動産屋さんは少なくありません。

不動産屋さんは知っている情報だけど、一般消費者には公開されていない。物件情報の中にもそんな情報がたくさん隠されています。

フェアじゃないですよねー。

ではその不動産業者さんと一般消費者との情報格差、これをどう埋めればいいと思いますか?

数多くの不動産屋さんと接触すればいい?

そんな問題でもありません。

だって、不動産屋さんにとってのお客様はあなた一人ではないからです。

毎月何件も何件も家を買ってくれるお客さまなら特別扱いをしてくれる可能性が出てきます。

でも一般の方からすると、家を何件も何件も買えないですよね?

私たち不動産屋さんが買取再販という事業ができる理由、それはまさにそこに理由があるのです。

買取再販をメインにしている不動産会社さんは、年間数十件、数百件の不動産を買取り再販します。

つまりリピーター、上客なわけです。

買うか買わないかの判断を即時にしてくれ、融資特約(住宅ローンを組む時、ローン否決になれば白紙解約できる)も付けず、買うと言ったら買う。その意思表示がはっきりしています。

売出し開始翌日には買主が決まっている、こんなケースも少なくはありません。

仲介さんにとっては、こんなにありがたいことはないのです。

売主さんの都合、気持ちさえ考えなければね。

買取り再販というくらいですから、その不動産を買い取り再販して利益を得ます。

つまり少なくとも、相場より2~3割安く買い取ることになります。

もちろんお客様の中には、すぐにお金にしたい、換金したい。

そんなお客様がいるのも事実です。

でも世の中に登場する再販物件、そんなに売り急いでいる人がいるとも思えません。

再販物件の多くは仲介さんの都合で作られた案件なのです。

この甘い蜜の味が忘れられない不動産屋さんの多いこと多いこと。。。

うちに持ち込まれる買取り案件も後を絶ちません。

もちろん非公開物件です。

多くの水面下情報は不動産屋さん同士の中で消費されてしまいます。

これが情報の非対称性なのです。

 

日本のReinsとアメリカのMLSの違い

 

日本の不動産業界にはReinsというネットワークシステムが導入されています。

このReins、「Real Estate Information Network System」の頭文字を取ってつけられた名前なのですが、一般消費者には公開されていません。

現在は不動産業者さんの中だけで見られている情報システムです。

『このReinsを見れば、流通している全ての不動産情報が見れるんでしょ?私も見たーい。』

こんなことを言われることがありますが、残念ながら全て情報がここに集約されているわけではありません。

アメリカにもReinsに似たシステムがあります。

MLSと呼ばれているものです。

このMLSは一般にも公開されています。

違いはこれだけではありません。

州によって多少の差はあるにしろ、物件を売り出す際には必ずこのMLSに登録すること、これが義務付けられています。

登録義務を怠った場合は罰則規定(結構な罰金額)もしっかりと設けられており、悪質な場合は除名処分されることもあるそうです。

そうなればMLSを見ることができなくなるため、不動産仲介の仕事をするには致命的です。

したがってこのMLSは、流通物件をほぼ網羅しているといっても過言ではありません。

アメリカでは非公開物件のことをポケットリスティングと呼んでおり、ここにも厳しい罰則規定があるそうです。

州によっては、MLSに登録していない物件をお客様に紹介するだけで厳罰を受ける、こんな州もあるそうです。

アメリカでは不動産業者と一般消費者との間に情報の非対称性は存在していません。

情報の透明さがこうして保たれているわけです。

日本のReinsの一般公開、これについては度々議論されてきました。

でもそこから十数年、20年近くが経とうとしている今も一般公開には踏み切れていません。

また、専属専任、専任媒介をした際にはこのReinsへの登録義務がありますが、いずれも5日以内、7日以内となっており、登録後間もなく、登録と同時に商談中、契約予定となる不動産も少なくありません。

一般媒介物件については、この登録義務はありませんので、一般媒介で預かっておいてポケットリスティングでせっせせっせと活動する、こんなことが日常的に行われています。

日本の今の不動産集客はポータルサイト、自社サイトに頼りっきりです。

ここに自社だけが掲載している物件が載っていることにより、より多くの集客が可能になっています。

このせいで、一般消費者は数多くのポータルサイトを閲覧し、数多くの不動産会社に問い合わせする必要が生じます。

誰が得をしているのでしょう?

数多くの物件を預かった不動産業者さん?それともポータルサイトの運営会社さん?

不動産業者は数多くの預り物件を増やすために、売り物件の集客も同時にしています。

一括サイトと呼ばれる売りのポータルサイト、毎週数多く撒かれるポスティングチラシ、ここにも多大な広告費が必要です。

儲かっているのはポータルサイト側、広告屋さんだけです。

アメリカの場合、よく考えればMLSを一般公開している時点でポータルサイトが入り込む余地などありませんよね?

一般の方々がこのサイトを見ることができますし、自分が信頼する不動産エージェントに購入の依頼をすることができる立場にあります。

 

アメリカの仲介手数料って何%?

 

日本の場合の不動産取引に関わる仲介手数料は、【物件価格の3%+6万円】です。

これが買主さん側からも売主さん側からも取れる上限額です。

『アメリカは5%とか6%って聞いたことあるけど?』

アメリカでの仲介手数料は6%、場合によっては5%だったりしますが、これは売主さん側のみが支払う仲介手数料で、買主さん側の仲介手数料は不要です。

取引がまとまると、買主さん側を担当した仲介業者(エージェント)に売主さん側が受け取る手数料の半分が支払われることになります。

『うちは仲介手数料0円です』

こんなことを謳って、他社で見てきた不動産案件を横取りする不動産屋さんが日本には存在していますが、アメリカではそんなもの乞い商売も成立しないわけです。

売主さんは仲介手数料を買主さんの分まで負担するわけですが、自分自身が不動産を購入する際にも同様の方法で購入していますから、

『手数料は売主が支払うもの』

その感覚が染みついています。

手数料を支払う分高く売れればいいだけのことなので、少しでも高く売ってくれると思うエージェントを指名します。

過去の実績、活動状況、口コミなど様々な要素を加味し、セラーズエージェントを指名します。

これに関してもすごく透明性が高く、一般消費者の自由度が高くなっています。

日本の不動産仲介事情を調べてみますと、大手不動産業者さんの平均仲介手数料率は軒並み4%を超えています。

中には5%近くまで肉薄している会社さんもあります。

前述しましたが、日本の不動産取引における仲介手数料は3%+6万円が上限(400万円以上の取引の場合)です。

それなのに、4%を超えるということは、いかに売主さん側、買主さん側両方の仲介(両手取引)をしているケースが多いかということです。

アメリカのような法整備をしっかりと整えれば、よーいどんでのスタートになりますので、ほぼ両手取引は起こり得ません。

実際にアメリカのエージェントさんに聞いた話では、両手仲介率は全取引の5%に満たない。

そんな話をしていました。

仲介手数料3%といっても結構高額になります。

でもその仲介手数料を3%ではなく、6%にしていきたい理由、それが年々膨大に膨らんでいく広告宣伝費です。

ポータルサイトにかけている費用です。

この費用がかからない集客ができればどうなるでしょ?

仲介手数料3%で十分に賄える収支が成り立つような気がします。

MLSのような情報を集約しているシステムが確立できれば、大きくこの業界も変わっていくのに、変化を恐れている人たちの集団ですからなかなか変わりません。

不動産業界は今の日本社会においても、他業種と比べてガラパゴス状態になっているのです。

情報を共有することが、自分の生活を脅かすのではなく、かえって自分の生活を豊かにするものだということに気づかなくてはいけません。

アメリカのように物件ありきではなく、エージェントを選ぶという形態に変わった時、うちの会社は選ばれるのだろうか?

エージェントとして自分は選んでもらえるのだろうか?

そう思う人がいる限り、多分このシステムは変わりません。

でもあなたたちはプロなんですよね?

お客様に選んでもらえるような仕事の仕方を確立していくのがプロの使命です。

日本の不動産業界に携わる人たちの地位・名誉を向上させていくためには、この変化は必要な変化なのではないでしょうか?

アメリカでは不動産の仕事に従事している人たちは、自分の仕事に誇りを持って従事しています。

それを見ているからこそ、お客様自身もこの職業を尊い仕事だと認識していただいています。

私が生きているうちに日本の不動産業界も、お客様にそう思ってもらえる、そんな業界になってほしいと切望しています。

この仕事に関わる人たち全ての人たちが尊厳を持って働ける業界に。

まだまだ道半ばですが、必ずそうなると信じて頑張っていきます。

ですので、これからもRE/MAX L-styleを、そして全国のRE/MAXの仲間を応援よろしくお願いいたします。